領域を踏み荒らす者に渡す報い

・・・治安の悪い国であったり文化レベルの低い国では戸籍というシステム自体がないかろくに機能してない所も多いが、日本という国はそう言ったシステムに関しては先進国としてちゃんと行われている国である。そして余程の事情がなければ戸籍がないまま生きる事などまず有り得ないし、昔の時代の老齢ならともかく現在の時点で小学生レベルの子どもが戸籍が作られないままに存在しているなど、今の日本では相当な事情があってもまずお目にかかる事が出来ない事象だ。

だがコナンが小さくなった新一なら、そういった戸籍など持っている筈がないとルルーシュは見た。人がいきなり小さくなるなんてことを考えてその為用の戸籍を作るなどまず普通に考えて有り得ないと言うか、そもそも戸籍などそうそう簡単には作れる物ではないのだ。少なくともこの二、三日で簡単に身元不明の保護者もいない子どもの為に作れるような代物ではない。

そういった点を踏まえてルルーシュは『江戸川コナン』という人物についての戸籍を調べてほしいと、小五郎に依頼した・・・正直な話、小五郎を介してでなくてもバリバリに犯罪と呼べる方法で戸籍を確認する方法もルルーシュは使えはする。だがここで小五郎に頼んだのは探偵という職業に就いているということと同時に、正攻法で戸籍の確認が取れたという事実を新一に突き付けたことが重要なのだ。






「・・・えっ、えっと・・・こせき、ってなぁに?僕わかんないよ・・・」
「・・・この期に及んでまだシラを切るのか・・・」
だがそこまで来て新一が取った行動はあくまで首を傾げて何も知らない子どものように振る舞うのだが、明らかに冷や汗を浮かべるその様子にルルーシュは冷ややかな声を漏らす。未だに自分の事を明かす気はないというその様子に。



「だが無意味だ・・・もう阿笠さんから自供の言葉は取ってある。お前が工藤新一だという証拠の言葉はな」



「!?」
・・・だがそこで逃れようのない事実を示す決定的な事実をルルーシュが口にし、新一は信じられないと愕然としたように目を見開いた。阿笠が自分の事を明かしたのかとばかりに。
「勘違いしないように言っておくが、阿笠さんはお前の事実を初めから俺達に明かそうとしていた訳じゃない・・・ただお前達が阿笠さんの家から出たのを見計らって阿笠さんに接触し、先程話したことを口にした上で聞いたんだ。お前が工藤新一なのではないかとな」
「そ、それで博士がそうだって言ったってのか・・・!?」
「最初は今のお前同様にとぼけようとしていたぞ?だが戸籍の事に関してを伝えた上で、共に役所辺りにでもお前と共に行きこの事を公にするかと言ったら諦めたようにうなだれ、お前が新一であることを認めてくれたがな」
「・・・っ!」
すかさずルルーシュは正しくはこうだと経緯を説明するのだが、公にとの言葉に盛大に表情を新一はひきつらせた。戸籍の事を正式に知られることになれば、自分がどんな風になるのか・・・少なからず感じた為に。
「・・・そろそろ猫を被るのを止めたらどうだ、新一?いや、もう先程の子どもの仮面が剥がれたような言葉遣いでもう被る猫もいなくなったと自供したような物だが・・・それでも何も知らないと言い逃れるつもりなら、それこそ本当に役所に連れていくぞ」
「そしてお前は自分は東都の人間だと言っていた。全国全てと言うならともかく、都内限定ならデータベースから『江戸川コナン』という存在が実在するかにお前なのかどうか・・・それを調べる時間もそうかからないだろうな」
「っ!」
そして最後通告とばかりに役所にと言うルルーシュに更にカミーユも先程の会話の中の事についてを口にし、新一はたまらず身を震わせ下を向いた。もう言い逃れは出来ないし、させない状況にする・・・そう言われたも同然の中身だった為に。









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