向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

「・・・優作のじいちゃん達についてはもう俺も簡単に頼らない方がいいと思ったけど、少なくとももう今回の事に関係する事はある程度悟と話してまとめたから大丈夫だよ」
「まとめた?どうするのか結論を出したってのか?」
そんな声にコナンが同意しつつも話をまとめたとの言葉に、小五郎はどうなったのかと問うように視線と声を向ける。
「って言っても簡単だよ。もうこれからは父さんの依頼には基本に付いていかない上で、最低でも高校卒業までに探偵を目指すかどうかを決めるようにするって決めたんだ。これに関しては悟から言われた事からなんだけど、もうちょっと長い目でこれからの事を考えた方がいいって言われてさ・・・ここでどうこうするなんて風に決めてもまだ高校を卒業する年齢までだって六年以上あるんだし、家に帰るってなってからの父さん達との距離感とかもどうするのかって」
「あぁ。だから時間をかけるって考えたのもだが、新一達との接し方をどうするか決めたってのか。前のように新一達に付いて行ったらまた同じような事になるんじゃねーのかって事から、ならもう新一達には付いていかねーって最初から決めておいた方がいいって風に」
「そういうことだよ。ただまぁ父さんは今までのようにって同じ様に誘ってくるだろうしまた俺も行きたいって思うかもしれないけれど、そこはもう俺が我慢する事で収める。これに関しては俺の気持ちを俺自身がコントロールしなきゃいけない話だからさ」
「・・・そこまで言えるなら問題はなさそうだな」
それでコナンは自身がいかに考えたかもだが強く迷う気はないと言い切るその様子に、小五郎は安心だというようにそっと微笑を浮かべた。コナンは大丈夫だろうと。






(良かったよ、本当に・・・完全に大丈夫だって決まった訳じゃないけど、一先ずはこういった結果になって・・・ホント、前世の家庭環境って今思うと恵まれてたんだって実感出来るよ・・・)
そんな光景を見つつ、悟は内心で心からホッとしていた。こうしてコナンが長い目でどうするかを探偵になるかどうかも含めちゃんと考えるようにするとしてくれたことを喜びつつ、前世の家庭環境は本当に良かったのだと感じる形で。






・・・悟は前世の記憶を持って新一の子どもとして生まれてきた。その事を理解して成長していくのだが、そんな悟から見てみれば今生での両親と兄の関係は一見は良好なように見えたが・・・それが一般的な家庭から見たらいかに特殊であるかもだが、歪であるかも感じていた。それはその良好な関係の大元が探偵として動く新一の周りで起きる事件だということからであった。

これは何故かと言えば普段の会話でもこの推理小説が面白かったであるとか探偵に関係する会話が多かったのだが、事件が起きた後は次の依頼に行くだとか事件が起きるまでその話題で持ち切りになって盛り上がることも珍しくなかった。そういった話題に元々は興味無かった蘭も新一と結婚して十年以上の時が経ったことや、新一一人じゃ心配だからと依頼に付いていく事がほとんどになっていたことから蘭ももう今となってはそれらの話に付いていける為だ。

だが悟は前世の記憶があることもそうだがその記憶の経験の中には推理や事件に関わる事はなかった上で、仲良く交流していた別の家庭の人達も同じような物だったしそもそも舞い込んでくるトラブルの質があまりにも違い過ぎた・・・これは前世の環境が今生と比べてあまりにも異質であったのは承知しているが、それを踏まえた上でも今生での一般的な家庭から見てもそんな推理や推理が事態の解決の為に必要な事件ばかりが起きることは、前世を含めても悟の人生では有り得ないことだった。今生で生まれた国の日本での犯罪を新一の周りに集めましたと言わんばかりの環境は。

そしてそんな特殊とも言える環境について新一や蘭は昔からの経験で慣れていたが、それがコナンにまで適応するかと悟は危惧していたのである。まだ幼いコナンがこんな環境で潰れずにいられるのかと。










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