向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

「そう言ってくれたことには感謝しますが、悟が近くにいてくれて良かったと本当に実感したと共にこれも新一達に言って欲しくない事を言うんですけど・・・簡単に言うと、コナンは泣いたんです。さっき話した事の後に悟がコナンの事をよくやったよお兄ちゃんって褒めた上で頭を撫でると、それまでの話の中で抱いた想いだったりを全部含めて涙や嗚咽を我慢出来ずに悟の胸の中で全部吐き出すように」
「「っ!?」」
それで小五郎も礼を言うのだが、続けられた言葉に優作達は驚愕の表情を浮かばせてしまった。起きたことの中身があまりにも信じられないというよう。
「・・・俺も悟がいきなりそうした事やコナンが我慢も何もなく泣き出したことに、どういうことだって混乱するしかありませんでしたが、それでもそんな光景を前にしてコナンを無理に泣き止ませるのは良くないと思って泣き止むのを俺は待っていました。それで十分くらいしてコナンが泣き止んで落ち着いたとこで悟にどうしていきなりあんなことをしたのかって聞くと、そうしたいってのもそうだけど何よりそうしなきゃって思ったからだったそうなんです。弟の僕からこんなことされるのはどうかって気持ちだったり考えになるかもしれないけど、それでもお兄ちゃんがお父さんに褒められてこなかった分をせめて僕がお兄ちゃんに言った方がいいんじゃないかって」
「・・・そしてその結果としてコナンは我慢なんて出来ず、号泣してしまったということですか。新一に褒められなかった分も含めて褒められたという事実で、もう溢れる涙は止められないというように・・・」
「そ、そこまでにコナンちゃんがなったなんて・・・」
「・・・そこら辺も悟が普通の子どもじゃないと思った部分なんですが、褒められるっていうのは自分がやったことが報われたって思える瞬間だって言ってました。親からじゃなくてもそうだけど、親だからこそ子どもとして頑張ったのを見て認めてくれたって事を実感出来る瞬間なんだって」
「・・・その言葉に照らし合わせると悟は血を分けた兄弟という部分は勿論あるが、新一という親に認められてこなかった事からコナンは号泣してしまったということですか・・・」
「そう聞くと、本当に悲しくなってしまうわ・・・新ちゃんなりにコナンちゃんと親として向き合ってきたつもりなのかもしれないけど、その向き合い方のせいでコナンちゃんは追い詰められたのもそうだけど、悟ちゃんがいなかったらそうした事をずっと抱え続けたままで新ちゃんや私達も何も気付けなかったんだろうってことは・・・」
小五郎もそんな反応に自身でも遺骸だったというように言いはするのだが、続いた話の中身を受けていくにつれて優作もだが有希子も沈痛な面持ちになる以外になかった。褒められないということがどれだけキツいことなのかもだが、それらを自分達もまた考えられなかったのだという現実を突き付けられて。
「二人がそう思ってくれるのはありがたいんですが、俺がコナンが泣いた事を新一達に言わないで欲しいと言ったのは、まだコナンには時間が必要だと思ったからなんです・・・多分とかじゃなく今の話をそのまま伝えたら新一達は自分達がそんな風にしてしまったなんてって事で、コナンを連れて帰って自分達なりにケアしようとすると思いますけど、新一の事だから仕事が入ればそちらに集中することもですがもうコナンは大丈夫だろうとまた依頼に連れて行く可能性が否定出来ませんが・・・まだコナンは前より落ち着いているだけで、また同じことになりそうな可能性は俺や悟もですがコナン自身も否定出来ないと言ったんですよ」
「っ・・・コナン自身も不安を感じているという事であり、今戻ることになるような事を毛利さんは止めたいということですか」
「それもあるんですが、新一に付いていかない生活をしていることや俺達との話で、前より新一よりすごい探偵になるっていう気持ちが揺らいでいるとコナンが言ったこともあるんです」
「っ!?」
「えっ・・・コナンちゃんがそんなことを・・・!?」
小五郎はそんな反応を歓迎出来ると言いつつ話を続けるのだが、詳しく話をする中で出て来た言葉に二人はたまらず驚愕してしまうことになった。コナンから探偵になりたいという気持ちが薄れているという二人からして信じられない中身に。









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