向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

「・・・俺としても新一達に話をしてもらうのはありがたいとは思います。あいつらの事だから俺から何かを言われたってなったら俺だからってことで、事を甘く見る可能性は否定出来ないと思いますからね・・・ただ話をするのはいいとは言いたいんですけど、悟の事に関してはあんまり詳しくは話さないでやってもらえますか?」
「えっ?どういうこと、小五郎ちゃん?」
ただそこでありがたいと言う中で悟についてを詳しく話さないでとの要求を口にする小五郎に、有希子もだが優作も怪訝そうな顔を浮かべる。
「さっきの話の中でコナンと違った意味で大人顔負けな考え方が出来ることについて話したけど、何かそれに秘密があるっていうか悟自身そういった話をした時、誤魔化そうとするように慌てた態度を取った事があったんだ・・・何つーかその辺りは嘘とか苦手だってのもそうだし悟にも人に言えねー訳があるんだってのは俺も予測出来たんだが、さっき言ったように俺は今回のような事が起きた時の為に悟がコナンの弟として生まれてくれたんだって思うと共に、その事について言及しないって俺は決めたんだよ。言いたくねー事を無理に言わせたくねーし、悟からそういった事を言い出してくるなら受け入れるつもりではいるがそうじゃないなら俺からは何も言うつもりはないってな」
「・・・けれどそういった悟の事を新一達に何の考えもなしに言ったら、新一は好奇心もあって悟にどうなのかと詰め寄りそうというのもそうですが、嘘が苦手だということから悟は秘密を話さざるを得ない状態になりかねない・・・だから新一達にそういった事を話さないでほしいというわけですか」
「そうですが、出来れば優作さん達にもそうしてほしいんですけれどどうですか?」
小五郎は悟が何か秘密を持っていると察した上で敢えてそれを追求していないことを話していき、優作が仮に新一が話を聞いたらその事を追求するだろうと予測するだろうと漏らす声に同意しつつ、優作達にもそうしてくれないかと願うような目と声を向ける。
「・・・有希子、毛利さんの言うようにしよう。正直に言うなら私も悟が本当に何か隠しているのかに関して気になる所だが、コナンの事を本当に思いやって行動して改善してくれた優しい子の嫌がることをしたくはない。だが新一が聞けばこれくらいいいだろうとその秘密を暴こうとすることを考えるだろう・・・しかしそういうことをさせてしまえばコナンの事を反省する事から目を逸らす可能性は高くなる上で、蘭ちゃんも蘭ちゃんで家族に秘密にしないでというように言いそうだからな」
「・・・だからそういったことは新ちゃん達には言わないで、私達も変に悟ちゃんの事は追求したり口にしないようにしようって事ね・・・分かったわ。私もその事については秘密にするし、悟ちゃんにもそういったことは口にしないようにするわ」
それで優作はすぐに有希子にそうしないようにしようと自身の考えを述べつつ同意してくれと言い、有希子も真剣な様子で頷き返した。悟の事は黙るようにすると。






・・・ただこの辺りで悟は本当に何らかの秘密を抱えているのかどうかに関してだが、これは実際に小五郎の予想は正しかった。これは小五郎が言ったように悟が嘘をつくにはあまり適した性格をしていないことが大きかった。

その上でそんな嘘をつくことに慣れてない悟がそれらを新一に勘付かれなかったのは、単純な話としてそれまでに悟が動揺するような話を新一達とするようなことがなかったからだ。嘘や演技といった時は分かりやすいが、それ以外の時での悟は同年代と比べて勉強好きだということから頭がいいのと優しく素朴というのが特徴というように見られていて、尚且つコナンとの距離感の方が圧倒的に新一達からすれば近かった上に手間もかからなかったことから、特に悟に何か強い注意を向けるような事がなかったのである。

しかし今回そんな秘密を持っていると感じさせるくらいに悟はハッキリと行動を起こしたのである。そのままだったならコナンの事が問題になると見て、子どもとしての分を越えてでもこの事をどうにかするべきだと・・・









.
15/24ページ
スキ