向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

「・・・これに関しては祖父として話を聞いていた俺もそういったことに気付かなかったのはどうなのかと言われても仕方無い部分はあります。ですがコナンが乗り気であったとは言え、そういった疎外感を感じさせてしまうレベルで連れ回していた時点で新一達が親として優先するべき事を見失っていたことは、とてもこれからもそのままで良かっただろうと言えるような事ではありません」
「・・・確かにそれは毛利さんの言う通りです・・・話の感じではコナンは自分の力で何とか出来たといったようですが、それがうまくいかなかったらまだマシな展開は孤立するくらいで済んだと言っていいとは思えませんが、それこそ悪ければイジメといった問題に発展しかねない事も有り得たと考えると・・・」
「イ、イジメ・・・!?」
小五郎はそこで自分にも悪い部分はあったと言った上で親としての新一達は良くなかったとハッキリ言うと、優作も理解出来ると言いつつ口にしたイジメとの単語に有希子は戦慄した声と目を向けた。
「イジメは些細なことで起き得る物であるが、子どもはイジメをイジメと認識せずイジメを行う事はよくあると聞く・・・その上で子どもは子どもなりの正義感であったり考え方を持った上で子どもの中でのコミュニティを築くことから、そういったコミュニティや考えに則さないならその対象を排除しようというようにする事も有り得るともだ」
「っ!・・・だからそうなっていたら、コナンちゃんはイジメられてたってこと・・・!?」
「幸い全く学校に行っていなかった訳でもないし、コナンが頑張ったからそういったことにはならなかったんだろうが・・・もし毛利さんや悟がコナンのメンタルのケアをしていなかったらコナンは荒れたままの精神状態で学校に行って、同級生達と馴染めないどころか周りに当たり散らす事も荒れていたなら有り得ただろうから、イジメられていた可能性は有り得ただろうな」
「そ、そんな・・・」
優作はそんな有希子にちゃんと整然と並べた考えを苦そうながらも口にしていき、それらの中身に顔を青ざめさせ否定出来ないと言葉を失うしかなかった。あまりにも生々しく現実的に考えられたもしもについてに。
「・・・俺も最初はそういった事を考えて無理はしなくてもいいとコナンに言いましたし、コナン自身もあまり変なことはしないようにすると言って行動したことでそうはならなくなりました。その事自体にはホッとしたんですが、やはり悟がいなければそういった事態になっていた可能性が高かった事や、その時に新一達がコナンの助けになる光景は俺には想像は出来ませんでした・・・そしてそうなったらコナンの精神状態は更に荒れていて新一達の言葉なんか素直に受けられないだろうこともそうですが、何より新一も蘭もそうなったら自分達の責任云々じゃなくてコナンなら乗り越えられると思ったというように、その能力ばかりを見てコナンがまだ十を少し越えた程度の子どもだということを考えないままに言うだろうとしか思えないということも・・・」
「・・・そういったことにならないだろうとは、自信を持っては私も言えませんね・・・新一達ともこちらに来る前に話はしましたけれど、コナンは落ち着いたのは分かるのに何故こっちに帰らないのかと心底分からないというように言っていたことを思い返せば、それこそ今の話に出たような事が無ければ自分達が悪いのかというよう考えるきっかけもなかったでしょうから」
「で、でも貴方・・・それだと新ちゃん達はそういった事を全く考えないままずっといくんじゃないの・・・?」
「・・・そこに関してはこの後の話も含めて私達が新一達と話をするようにしよう。流石にここまで聞かされて後は毛利さん達によろしくお願いしますでは、あまりにも私達は新一の親としてもそうだがコナンの祖父母としても、あまりにも放任主義が過ぎるどころの話では無くなるからな・・・」
「っ、そうね・・・こんなことを聞いて何もせずなんて、流石に良くないでしょうし・・・」
小五郎もそういった優作の考えに同意しつつ新一達に対する不安を始めとした考えを口にしていき、優作も苦く同意する中で有希子がならどうするのかと聞くとせめて自分達で話を新一達とするべきとの答えに、確かにと力無く漏らすしかなかった。ここで聞くだけ聞いて終わりなんて事にしたら薄情とかそんなチャチな物ではない事をするような物だと。









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