向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

「・・・取り敢えず話を戻しますけど、そうして悟の言葉から新一の依頼に付いていかない生活をするようになるんですが、そこでコナンはしばらくの間を戸惑う事になりました。それは新一に付いていって学校に行かない時が多かったことで、学校で浮いてるって気付いたことにあるんです」
「えっ、浮く・・・?」
そんな中で話を戻すと小五郎が口にしたコナンが学校で浮いていたとのことに、有希子もだが優作も怪訝な様子を浮かべる。
「今言ったでしょう。新一に付いていく事から学校に行かない事も多かったって。この辺りは新一達が高校や大学じゃないから少しくらい大丈夫だとか、コナンの頭の良さならそれくらいどうにでもなるって思ってたのかはともかくとして、そうした動きもですけどそれまでのコナンの精神状態が良くなかったのもあって同級生達はコナンの事は同じクラスじゃあっても、遠巻きに見るだけの存在になってたんだと思います。機嫌が悪かった時も相まってろくに話すこともない時間が続いたことから、コナンは自分達の仲間とは見れないというよう」
「っ!・・・確かに普通の子どもから見たら一緒に学校に来ていない子どもを仲間や友達というように見るのは無理があるか・・・」
「そ、そんなことにコナンちゃんがなってたなんて・・・」
「俺も最初はそう思ったけど、今はいいけど学校に新一に付き合わずに普通に行き出してからそういった雰囲気を感じていったらしいんだ。ただコナンも最初はどうしてなのかって思ってたとのことだから、俺達の中で今のような話をして自分が頑張るって言って前のように出来るようになったって言ってたんだけど・・・そのことにホッとしたのもあるけど、その反面でそういったことになるなんて事も考えずにいた新一や蘭の甘さやらに対してどうかって気持ちになったんだよ。学校やら友達やらを気にした様子もなく、親として何をしてるんだって風にな・・・」
「「っ・・・!」」
しかし小五郎が語っていくコナンがどうなったかの中身もだが、新一達についてを嘆く言葉に優作達は複雑そうに顔を歪めるしかなかった。親としての自覚がない行動と言われ、新一はそんなことないと否定出来ないというよう。






・・・優作と有希子の二人は新一を仕事だからと連れ回すような事をしなかったのは優作の仕事が小説家だからどこかに連れて行く事が少なかったからということもあるが、やはりまだ子どもだというような認識をしていたからであった。いかに頭は同年代より良かろうがまだ子どもである事には変わりはないのだし、蘭や園子といった友達の存在があったのだから子ども同士の時間も必要だからと思う形でだ。

だから優作達は基本的に新一を仕事に連れて行くことはなく、学業や交友関係に影響が出る程の事はしていなかった。だからというのも何だが新一は周りから浮くこともなく、とあるトラブルこそ高校時代には起こったもののそれを除けば学業も特に問題を起こすことはなかったから、優作達としてはこれで良かったという結果になったと思っていた。

しかしそうして大人になった新一もだが新一と結婚した蘭が、コナンをそんな風な状態にしたことについてショックを受けざるを得なかった。自分達はそんなことをするように新一を育てていないし、蘭もそんな風な事をするような娘ではないと思っていたのにと。

ただコナンがかつての新一のように探偵になりたいだとか推理をしたいという気持ちを持って近付いてきたから、それに応えたいと思ったからこそ新一達も仕事に頻繁に連れて行ったのだろうが・・・そうした新一と被ると思ったからこそコナンなら大丈夫と勝手に妄想した親の欲目が、今回のような結果になったと優作達もだが小五郎達は特に感じてしまったのである。親として安穏としすぎた行動の結果だと。









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