「・・・そこに関しちゃ悟はまだしもコナンを落ち着いたからって新一達のとこに帰すだとか話をしたところで、また同じようなことが起きるんじゃないかみたいな事が考えられたからだよ。これは新一達がちゃんとコナンと向き合えるかってのもそうだが、コナンの状態も考えてだ」
「えっ・・・どういうこと？」
「・・・まぁ言いたいことは色々あるけど、要はコナンにまず事件が関わらねぇ普通の環境ってヤツにいて落ち着いてもらうことが必要だって主に悟は思ったとのことで、俺も詳しく話を聞いて頷けるってことでそうしたんだよ。新一の元にいたんじゃコナンは落ち着けねーだろうから、色々と考えてもらうことも出来ないだろうってな」
そのまま小五郎は何故コナン達というかコナンの事を話もしないし帰そうとしないのかについてを話していく。悟の考えを中心にやったことだと。
「まぁそもそも普通の環境って何かって話になるが・・・そもそも優作さんや有希子ちゃんは新一が依頼もそうだけど何処かに私用で行く時だったりで、かなりの確率で事件に発展するような状況についてを普通だって風に思いますか？」
「え・・・えっと、それは・・・」
「・・・確かにそれが一般的な家庭において普通かと言われれば、そういうものでしょうと言えはしませんね・・・私に新一達は仕事柄もあってか事件に出会すことはよくありますが、それが私達に関わりのない人達もそういうものだというなら日本だけに限った話だとしても、日本は安全な国だというような評価は他国からは下されないどころか、むしろある意味では世界一危険な国というように判断されておかしくないでしょう・・・殺人事件一つを取っても罪を逃れる為にと警察でも分からないようなトリックを駆使するような人物が日本のそこかしこにいて、一週間で何十何百かあるいは何千といった件数の事件が日本各地で起きるような環境だったなら・・・」
「っ・・・！」
しかしここで小五郎から投げ掛けられた事件に会いやすい事は周りにとっても普通かとの問い掛けの言葉に、有希子は何とも言い難そうにしていたが優作が苦そうに漏らした新一の周りの環境が普通だったなら・・・と仮定していった言葉に、有希子はたまらず息を呑んでしまった。新一を普通だと庇おうとしたい気持ちはあっても、事件が起きることは新一と関わりのない環境にいる者達にとっても普通だったなら、日本だけに限ってもどう控え目に言ってもとんでもない国だというように感じてしまう中身に。






・・・犬が歩けば棒に当たるならぬ、新一が動けば事件が起きる。これはどう新一からして聞こえは悪いと怒ろうが、今の小五郎からすればもう否定出来ないと言えるようなレベルの領域にある考え方だった。これは昔からそういったように事件が起きてきたがそれでも高校や大学の時までは、学校の時間もあったりしてまだ事件に出会う頻度は少なかったからまだ何とでも言える物だった。

だがハッキリとした職業としての探偵に就いた新一の元に仕事としての依頼が来るようになってからは、一週間に一度どころか何度も事件に発展することはザラどころか受けた依頼全てが殺人事件を筆頭とした厄介な謎解きが必要な事件へと発展して、一週間丸々と全部の日に事件に出会す事すら少なくはなかったのである。

そしてそんな風な事が新一の周りだけでなく４７都道府県全てで起きるような事になっていたなら、仮に一週間全て謎解きが必要な殺人事件が発生したとすると最低３２９人の犠牲者が出るというとんでもない数になるのである。ただこれは単純計算として数に出しただけであると共に新一が関わった厄介な事件は殺人事件だけじゃないこともあったのだが、それで仮に殺人事件が起きて１００人が一週間で平均して死んだとしても年間で考えれば単純に５０００人以上が死ぬ計算となるのだ。３２９とまでは行かずとも２００人が一週間平均で死ねばそれだけで万という単位の人が死ぬという計算になるのである。

ただそれくらいの事が日本全体で起きているなら新一が普通の事だろうと言ってもまだ納得は出来るだろうが、そんなことはないというように小五郎は言っている事を優作も理解したのである。新一の周りでおびただしい数の事件が起きることは普通の人からは異常なのだと。









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