向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

・・・そもそもの話というかこんなことを悟が切り出したのは話の中で出たよう、新一がコナンの事を褒めた場面についてを悟が見たことがなかったからであった。ただそういったように聞くとさも新一は悟も含めて親として優しくない人間のように聞こえるかもしれないが、流石にそんなことをするような新一やそれを許容するような蘭を相手に小五郎は黙っている筈はない。依頼や事件で家を留守にしてコナン達との時間を取れないことは多いが、それでも仕事が無くて家にいる時はコナン達に厳しい言葉などかけるようなこともなく穏やかな様子で接していた。

だがそんな風な新一がコナンの事を褒めたことがないのはおかしいのではないかと思う者もいるかもしれないが、少なくとも悟はコナンが探偵関連で褒められている姿を見たことはなかった。ただそれもお前なんか俺の足元にも及ばないと見下すようなものではなく、まだまだ甘いというような軽い笑みからのそれこそ話に出てた友人相手に軽い言葉からの物ではあったのだが・・・そんな姿もだが同じようなやり取りばかりが二人の間で起きていたことに、悟は将来的に何か起きるのではないかと考えたのである。主にコナンが不満げな様子を浮かばせるだったり、悟にそれらをぶつけてくるということが度々あったことから新一と何か良からぬ事が起きるのではないかと・・・






「・・・今の反応からお兄ちゃん自身もそれで合ってるっていうか、少なくともそれが近いんだっていうのは何となく感じたと思う。お兄ちゃんとしてはお父さんから探偵としてもだけれど、子どもとして褒められたかったり認められたかったんじゃないかって・・・」
「っ・・・それは、その・・・・・・み、認めたくはねぇ・・・認めたくはねぇけど、俺は父さんに認められたいし褒められたいって気持ちを持ちながら動いてた部分は確かにあった・・・探偵としてあの人に勝ちたいってのもそうだし、やるなって褒められたり認められたいって・・・」
「成程・・・悟の見立てた通りだったってことか・・・」
それで悟がコナンの反応に複雑さを滲ませつつ考えを口にしていく中身に葛藤こそ浮かべはしたが、認めざるを得ないといったよう小さく漏らす姿に小五郎も悟は間違ってなかったと盛らす・・・コナンは新一に探偵としてもだが子どもとしても、褒められたかったのだと心底では渇望していたと。
「・・・ねぇ、お兄ちゃん。おじいちゃんとはもう話はしてあるけど、僕と一緒にしばらくここで一緒に暮らさない?その間はお父さんの仕事に付いていくような事もしないようにしてさ」
「えっ・・・?」
「色々言いたいことはあるが、今のお前に必要なのはしばらく新一達と距離を空ける時間だって俺達は思ったってことだよ。特に今のお前が新一達のとこに戻っても似たような事は起きねーって断言出来るか?」
「っ・・・否定したいけど、否定出来ねー・・・多分とかそんなんじゃなく、そういったことになるのは俺も予想が出来る・・・」
「・・・決まりだな」
だからこそしばらく小五郎の元で暮らそう・・・そう切り出す悟にコナンは戸惑ったが小五郎からの投げ掛けの言葉に苦くも否定出来ないといったよううつむきながら口にしたことに、二人はそっと頷いた。コナン自身もいつもなら否定したいことだからと気持ちだけで否定していただろうが、もう今の状態では言ったような事になるであるとか良くない事態になり得ると感じたのを見て・・・










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