向けられ触れてこそ愛情は理解出来る

・・・そんな風に悟と小五郎は悟以外の工藤家、それも特にコナンについてを不安視したのだが、その不安が間違ってなかったと形に現れてきたのは小学校高学年に二人が入った頃だった。






「・・・あ〜・・・何だろうな、本当に・・・久しぶりにこうしてゆっくりすると、何であんなに俺カッカしてたんだろうって思っちまうよ・・・」
「大丈夫、お兄ちゃん?またお父さん達と一緒に行動したいって気持ちにならない?」
「・・・正直今はいいって思ってるだけでまた父さん達に付いていきたくなるかもしれないけど、まだしばらくはそれはいいかなって思ってる・・・悟達の言葉もあってな・・・」
「そうなんだ・・・」
・・・小五郎の住処の居間で座りながら複雑そうに表情を歪めるコナンに悟は同じく座った状態から大丈夫かと心配そうに問い掛けると、まだ完全に吹っ切れてはいないといった様子ながらもホッとしたといったように返す姿に複雑さを滲ませる。
「・・・ならしばらくゆっくり新一達ともそうだが、推理の事から離れてここで暮らせばいい。新一達には俺から連絡しといてやるからよ」
「・・・いいのかよ、じいちゃん・・・」
「孫が困ったなら助けてやりてぇって思うのは祖父として当然だろうってのもそうだが、悟は前から今回のようなことが起きる可能性についてを考えてたって聞いたのもあってだよ・・・いずれコナンと新一達の間で衝突が起きるんじゃねーかって事をな。んで実際にそうなった上で話を聞いたからしばらくゆっくりさせてやるべきだって思ったんだよ」
「っ・・・そう、なのか・・・」
そんな場に小五郎も来て会話に加わるのだが、その話の中身に申し訳なさそうだったコナンは悟に何とも言い難そうな表情を向けてしまった。こういった事態になることを悟は予見していたということに。






・・・前は新一達に付いていっていたコナンが何故小五郎の元に悟と共にいるのか?これは単純な話として新一達とコナンが喧嘩に近い状態になったからであり、その話を聞いた悟がしばらくお父さん達の依頼に付いていくのは止めようとコナンを説得したからであった。不満を溜めた今のままじゃ事あるごとに新一達とぶつかりあうのが想像出来るし、何よりコナンが精神的に辛くなっていくだろうからということでだ。

ただ最初コナンは俺なら大丈夫だというように意地から固辞しようとしたのだが、ならお父さん達と以降もぶつかり合うことなく一緒に活動出来るのか・・・そう悟から聞かれたコナンは言葉を詰まらせるしかなかった。事実コナンは新一とぶつかったことから家に帰った時の悟からの言葉を受け、このまま新一の仕事に付いていってもそのぶつかった時以上のぶつかりになると想像出来た上で、一度頭を冷やす為にも少しゆっくりしないといけないと思ってだ。

しかしそもそも何故新一とコナンがぶつかり合ったのかと言えば、それは今までの積み重ねもあったのだがある依頼にて流れで事件が発生した際に用いられたトリックを解こうと動きはするが、経験の差もあって新一が早く事件の真相に辿り着いて事件を解決するのだが・・・不敵に笑いつつもまだまだ甘いなと言う新一に対してコナンがキレた事にあったのだ。俺も時間があれば解けたんだと。

そんなコナンに新一や蘭はまぁまぁとなだめるように緩い笑顔を浮かべるように最初は対処しようとしていたのだが、そうしてもコナンの怒りは収まらずエスカレートしていって今までの事も併せて怒りをぶつけていき、その怒りがいつまでも続いた事で事件は終わったから早く帰ってくれと関係者から追い出される形になり、帰る最中もだが帰ってからもコナンからの声が続いた事に次第に新一も蘭もいい加減にしろとウンザリした怒りを浮かべながら言い合いとなるのだが・・・家で出迎えた悟が仲裁したこととしばらく新一達の仕事にコナンは付き合わない方がいいと言ったことで、コナンは怒りを収めると共にそうすると決めたのである。

これはコナンとしては言いたいことは怒りを爆発させて言える分は言ってきたのもあるからいくらか気が済んだ部分もあるが、唯一場にいなかった悟に怒りをぶつけるのは違うと思った事・・・そしてそんなコナンと違い言われた側であった新一達が段々とヒートアップしていったことから、悟の言葉に渡りに船とばかりに自分達はもう貴方を仕事に連れて行かないと言ったこともあってだ。

だからそんな新一達の声を受けたことでコナンは悟と共に小五郎の元に行くとなって、現在はかなり落ち着いているのである・・・









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