領域を踏み荒らす者に渡す報い

(なんだ、休憩しろって言いたかっただけか・・・聞いてきたことも俺の事を気遣ってくれたもんだったし)
一方、新一はカミーユの感じていた通りに内心で安堵していた。変な事を聞かれた訳ではないことに関してを。
(まぁ一応今の俺はこんな姿なんだし、そんな変に見られることも変な事を聞かれることもないよな。カミーユも見ず知らずの子ども相手に何もしないのはまずいと思って話し掛けてるんだろうし)
だからこそ新一はカミーユの質問は自分を気遣っての事だと考え、気楽に構える。自分の事がバレる筈はないと。









・・・それでカミーユはしばらくの時間を色々とコナンに対しての質問にあてた。いつも親は君をこういう風に人に預けているのかだとか、君も大変なんだなといった同情的な言葉をさりげにかける形でだ。

そんなカミーユに対して新一はコナンとしての目一杯の演技でいい子を演じ、自分は大丈夫だといったように振る舞っていった。その内心では自分は本当にカミーユに心配されているからこそ、こうやって同情されているのだと考える形で。









「・・・済まない、待たせたな」
「あぁ、ルルーシュ。来たか」
・・・それでしばらく経った所で手荷物を持ったルルーシュが現れ、カミーユは少しホッとしたように微笑を浮かべる。
「・・・ど、どうしたのルルーシュお兄ちゃん?僕の事をジッと見て?」
ただカミーユから視線を新一に移したルルーシュに対し、新一は居心地が悪そうながらもコテリと首を傾げる。
「いや、今から食事を作ろうと思うんだが・・・何か嫌いな物もそうだが、食べられないものはあるかい?」
「あ、それなら大丈夫だよ。僕食べられないものはないから!」
「そうか・・・なら少し待ってくれ。今から簡単な物ではあるが作るとしよう」
「わ~い、ありがとう~!(カミーユに続いて勘繰りすぎたか・・・やっぱりルルーシュもこの姿には違和感は抱かないよな、そりゃ・・・)」
そこから優しく正に子どもに話し掛けるよう微笑むルルーシュの姿に、新一は内心で安堵しつつ元気よく返す。余計な心配はやはり今の体にはいらなかったとばかりに。









・・・それから少ししてルルーシュの作った料理を食べた三人は人心地ついた。
(蘭が言ってたけどホントうめーな、ルルーシュの飯・・・蘭はあんまり二人と一緒にいようとしたがらなかったけど、ルルーシュの飯に関しちゃ誉めてたのは頷けるぜ・・・これなら前から俺もご相伴に預かりたかったくらいだぜ・・・)
そこでホッとしつつ蘭の言葉を思い返す新一は、ルルーシュの料理をもっと食べたかったと内心で漏らす。






・・・高校に入学する時にはもう小五郎の事務所には蘭がいなくなったことから立ち寄ることもなくなった新一は、学校で時折見掛けるくらいしか二人と関係はなかった。

そしてまだ蘭が事務所にいた中学の時は蘭は基本的にそこまで二人に対していい顔や感情を向けていなかった為、新一はルルーシュのご飯が旨いことくらいしか二人が来ることに関していいイメージを持てなかった。と言ってもその場に自分が行って蘭から文句を言われ気分が悪くなるのは目に見えていた為であって、別に二人について悪いイメージがあったわけではない。ただ蘭の優先順位が二人より新一の中で高かった為、そちらを選んだというわけで別に二人をそこまで嫌ってはいないのだ新一は。






「・・・おう、戻ったぞ」
「あぁ、毛利さん。結果はどうでしたか?」
「・・・結果はオメーの言った通りだったよ」
(え・・・結果って何だ・・・?)
・・・そんな風にしてゆっくりしていた所にやけに神妙な顔で戻ってきた小五郎と迎え入れつつ話をするルルーシュの様子に、コナンは何事かと内心で考える。今の会話は何の事を指しているのかというように。









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