あるべき形とは何かを見失う者達と見定める者達
「この事に関しては本来でしたら毛利さん達も交えてお話する方が手間も省ける事もあっていいと思うところなのですが、今回の件で娘さんの蘭さんに関して話さなければならないことがあった為にこのように分けて話すことになったんです」
「そ、そんな分けてでも話さなきゃいけないような事を小五郎ちゃん達は話しているんですか?」
「えぇ。話の中身としては単純にこれからも工藤君に関わり続けた上で事件が起きたなら、工藤君が連絡をするかどうかを聞くのではなくそちらで何も言われずとも、率先して連絡をしてほしいといったことを話してもらっているんですが・・・それだけなら分けて話をしなくてもいいと思うかもしれませんが、勿論それだけではなく蘭さんの安全についてを話してもらっているんです。今回は蘭さんが犯人の鎮圧に成功して事なきを得たといった結末になりましたが、もしそれが失敗していたならどうなっていたのか・・・ということを話してもらっているんです」
「「っ・・・」」
それで毛利親子というか蘭に関する事で分けて話していると言う杉下に有希子は不安げに問い掛けを向けるのだが、肯定と共に返ってきた失敗との単語に優作共々ハッとした様子を浮かべた。
「この事に関してお二人も感じられたかと思いますが、今回の件はあくまで蘭さんの空手に犯人が対応出来なかったから鎮圧されることになっただけであって、犯人の実力が蘭さんより上かあるいは不意をつくような形で銃を撃たれるといったような形を取られていたら、蘭さんが返り討ちにあっていた可能性もあります。そしてそういった事を今回の件に照らし合わせていくと蘭さんが倒れたとなったら、鈴木さんなり誰かが通報をその時点でしたとして、どう控え目に見ても工藤君に蘭さんを含めて何人か亡くなっていた可能性は十分に有り得たでしょう」
「「っ!」」
杉下はそのまま二人が何を感じたのかについてを明確な言葉・・・蘭が返り討ちにあったならのシチュエーションについてを話していき、たまらず二人は身を震わせるしかなかった。蘭が勝てたから別にいいと流す事など到底出来ない死という、最悪の可能性が有り得たことを初めてに等しい形で認識して。
「ただ一応は今の話に関しましては今回は起きなかったことではありますが、これから先に工藤君と同じように接していくならそういった事はいつ起きてもおかしくない可能性になると共に、とある可能性についても否定が出来なくなります」
「とある・・・可能性?」
「同じような事が起きた時に蘭さんにそのつもりが無くても、犯人鎮圧の為の空手で犯人が亡くなるかもしくは取り返しのつかない重傷を負いかねないという可能性です」
「「っ!?」」
・・・だが事はそれだけではすまないと杉下が挙げた蘭が望まなくても起きかねない危険な可能性についてに、二人は驚愕に目を見開かせてしまった。そんなことが起こるのかというよう。
「・・・今申し上げた事に関しましてですが、確かに今回の件で蘭さんは犯人を空手で無力化することは出来ました。ですがその撃退の仕方は首筋に裂帛の気合を込めた上段の蹴りであって、手加減は工藤君達の惨状を見たのもあって意識すらしていなかったとの事ですが・・・一応犯人の容態としてはムチ打ちくらいで済みはしましたが、当たりどころが少し悪ければ首の骨が折れるなどしてそれだけのダメージを受けていた可能性は犯人を診察した先生は否定出来ないとの事でした」
「「っ!」」
しかしそれが全くの大げさでも嘘でもないと先生の診察という証拠も添えて口にする杉下に、二人は盛大に息を呑むしかなかった。そんなことはないと否定出来ない材料を前にして。
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「そ、そんな分けてでも話さなきゃいけないような事を小五郎ちゃん達は話しているんですか?」
「えぇ。話の中身としては単純にこれからも工藤君に関わり続けた上で事件が起きたなら、工藤君が連絡をするかどうかを聞くのではなくそちらで何も言われずとも、率先して連絡をしてほしいといったことを話してもらっているんですが・・・それだけなら分けて話をしなくてもいいと思うかもしれませんが、勿論それだけではなく蘭さんの安全についてを話してもらっているんです。今回は蘭さんが犯人の鎮圧に成功して事なきを得たといった結末になりましたが、もしそれが失敗していたならどうなっていたのか・・・ということを話してもらっているんです」
「「っ・・・」」
それで毛利親子というか蘭に関する事で分けて話していると言う杉下に有希子は不安げに問い掛けを向けるのだが、肯定と共に返ってきた失敗との単語に優作共々ハッとした様子を浮かべた。
「この事に関してお二人も感じられたかと思いますが、今回の件はあくまで蘭さんの空手に犯人が対応出来なかったから鎮圧されることになっただけであって、犯人の実力が蘭さんより上かあるいは不意をつくような形で銃を撃たれるといったような形を取られていたら、蘭さんが返り討ちにあっていた可能性もあります。そしてそういった事を今回の件に照らし合わせていくと蘭さんが倒れたとなったら、鈴木さんなり誰かが通報をその時点でしたとして、どう控え目に見ても工藤君に蘭さんを含めて何人か亡くなっていた可能性は十分に有り得たでしょう」
「「っ!」」
杉下はそのまま二人が何を感じたのかについてを明確な言葉・・・蘭が返り討ちにあったならのシチュエーションについてを話していき、たまらず二人は身を震わせるしかなかった。蘭が勝てたから別にいいと流す事など到底出来ない死という、最悪の可能性が有り得たことを初めてに等しい形で認識して。
「ただ一応は今の話に関しましては今回は起きなかったことではありますが、これから先に工藤君と同じように接していくならそういった事はいつ起きてもおかしくない可能性になると共に、とある可能性についても否定が出来なくなります」
「とある・・・可能性?」
「同じような事が起きた時に蘭さんにそのつもりが無くても、犯人鎮圧の為の空手で犯人が亡くなるかもしくは取り返しのつかない重傷を負いかねないという可能性です」
「「っ!?」」
・・・だが事はそれだけではすまないと杉下が挙げた蘭が望まなくても起きかねない危険な可能性についてに、二人は驚愕に目を見開かせてしまった。そんなことが起こるのかというよう。
「・・・今申し上げた事に関しましてですが、確かに今回の件で蘭さんは犯人を空手で無力化することは出来ました。ですがその撃退の仕方は首筋に裂帛の気合を込めた上段の蹴りであって、手加減は工藤君達の惨状を見たのもあって意識すらしていなかったとの事ですが・・・一応犯人の容態としてはムチ打ちくらいで済みはしましたが、当たりどころが少し悪ければ首の骨が折れるなどしてそれだけのダメージを受けていた可能性は犯人を診察した先生は否定出来ないとの事でした」
「「っ!」」
しかしそれが全くの大げさでも嘘でもないと先生の診察という証拠も添えて口にする杉下に、二人は盛大に息を呑むしかなかった。そんなことはないと否定出来ない材料を前にして。
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