領域を踏み荒らす者に渡す報い

・・・ルルーシュとカミーユの二人が新一に対して行動を起こしている。その事を当事者である新一は知らないままに時間は進み、翌日となった。






「・・・それじゃあコナン君、行こっか」
「うん、蘭姉ちゃん!じゃあね~、博士~!」
・・・笑顔で自分を迎えに来た蘭の手を握り、コナンとしての笑顔を浮かべてリュックを背負った新一は元気よく返して阿笠に手を振って場を後にしていく。
「・・・うまく行くといいんじゃが・・・」
その二人の後ろ姿を見ながら阿笠は何とも言いがたそうに見つめる。昨日からの不安を引きずる形で。






・・・それで二人は小五郎の事務所へと辿り着くのだが・・・
「あれ?カミーユ君、一人?お父さんもそうだけど、ルルーシュ君はいないの?」
「毛利さんは急な仕事が入って今日中に帰ってこれるかどうか分からないらしい。それとルルーシュは別件で出掛けてるけど、後でこっちに来るさ」
「えぇ~・・・お父さんいないの~?話をしたかったのに~・・・」
「今日は事務所はともかく、この住居スペースに関しての鍵は俺が預かってるしその子を俺にルルーシュがいるなら泊めてもいいとは言われてる。だから蘭は後は俺に任せて帰ってもいいぞ」
「う~ん、お父さんにちゃんとコナン君の面倒を見てって念を押したかったんだけどな~・・・私もお母さんのご飯とか作る為に帰らないといけないし、私がいなくてもいい子に出来る?コナン君」
「うん、僕大丈夫だよ!」
・・・事務所は空いてはおらず、住居に入ればいたのはカミーユ一人。
蘭がどういうことかとカミーユに聞いて理由付きで返ってきた答えに、蘭は仕方無いといったように言いつつコナンへと確認を取るといかにもいい子だというように元気よく頷いた。






・・・そうして蘭はカミーユにコナンを預け、笑顔で帰っていった。
「・・・さて、ルルーシュがここに来る前に何個か聞きたいことがある」
「えっ、何?僕に聞きたいことって?」
「君の出身地はどこだ?方言が無いから、東都かそこから遠く離れてはいないと思うが・・・」
「・・・どうしてそんなこと聞くの?」
それでカミーユが二人きりになったのを確認してから問いを向けると、コテンと首を傾げて子どもらしく何でと聞き返す。
(・・・内心焦っているといったところか。いきなりの意味が分からない質問に)
だがカミーユはその仕草に潜むコナンの内心での感情を感じ取った。決して見た目通りに呆けてる訳ではなく、むしろ色々と困惑しているのだと。
「いや、東都以外から長い間時間をかけてきたんなら昨日阿笠さんの家で休んでいても疲れているだろうし、少し昼寝でもしていたらどうかって言いたいんだ。でも君の言葉は綺麗な標準語だから、東都か近い所なんじゃないかって思ってね」
「そういうことなんだ・・・でも大丈夫!僕東都出身だし、そこまで遠くない所にいたから疲れてないよ!」
「そうか・・・(表情には出してないが、相当にホッとしたようだな。となれば・・・)」
そう考えつつもカミーユは優しげにそう聞いた理由を話し、コナンが元気を見せるその姿に納得しつつ次の段階に進もうというように考えを巡らせる。









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