いつかを変えることの代償 前編

「ん・・・っ、とりあえずどのような状況で被害者を発見したのか、教えていただいてよろしいでしょうか?」
「はい、分かりました(何だ?俺を見て妙な間があったが・・・)」
その警視という人物が小五郎達の方を見るのだが、小五郎を見た瞬間に戸惑いのような間が一瞬あり、内心で疑問に持ちつつも小五郎は追求はせずに頷いて返す。


















・・・それからその警視が場を仕切り、現場を確認していったが警視は然程時間をかけずに犯人を特定して事件を解決させた。話を聞く限りではそこまで凝ったトリックもなく、アリバイもすぐに崩せるような単純な物であったと言っていたが、それでもすぐにそこに辿り着いた警視の頭の良さに小五郎は内心で舌を巻いていた。新一達以外にもここまで能力の高い人物がいたことに。



(・・・予想外に早く終わっちまったな、この事件も・・・まぁいい、俺としちゃあんまり長く殺人事件とかに関わりたくはねぇしな・・・とりあえず今日はもう事務所に戻って、ゆっくりするか・・・)
事件が終わり、犯人もパトカーで警察に連れていかれる光景を見ながら小五郎は気持ちを切り替えてさっさと帰ろうと考える。
「・・・すみません、少々よろしいですか?毛利小五郎さん」
「ん?どうしたんですか、警視さん?」
「・・・貴方も、戻っているのですか?」
「貴方も・・・戻って、いる・・・っ!?」
だがその時に警視から声をかけられたことに小五郎は何かと視線を向けるが、意味深に探るような視線と問いを向けられ、鈍い小五郎だがその言葉が意味する物に気付いた。
「・・・まさか、あんたも未来から戻ってきたってのか・・・!?」
「えぇ・・・本来なら米花町にいるはずの貴方がこの不動町にいることが不思議だったのでカマをかけてみたのですが、どうやら当たったようですね」
「・・・マジかよ・・・!」
それは目の前の人物も逆行しているという物・・・思わず信じられないといった声を漏らす小五郎に警視はニコリと笑顔で返し、思わず頭を抱える。いとも簡単に引っかけに引っ掛かったことに。
「すみません、毛利さん。お詫びに今日は食事でもどうですか?色々とお話ししたい事もありますし、私から奢らせていただきますよ」
「・・・色々と話、か・・・分かった、こっちとしても聞きたいことは沢山あるからな・・・だが事務所に一度戻らせてからにしてくれ。依頼を受けて出るから閉めておいたとは言え依頼人が来ないとは限らないからな」
「えぇ、構いませんよ。こちらも仕事を終えてからにします・・・まずは連絡先の交換をよろしいですか?」
「あぁ、構わないが・・・ずっと警視って呼ばれてたから名前は何て言うんだ?登録するにも警視ってのも流石にどうかと思うからな」
「あぁ、これは失礼しました」
そんな姿に詫びといって食事をと切り出した警視に小五郎は了承を返し後でと言うが、携帯を取り出した所で名前を聞いていなかった事に気付く。



「私は明智健吾と申します。以後お見知り置きを」



その言葉に再びニコリと笑いながら警視は名前を名乗った。明智健吾という自分の本名を。















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