救う者と救われるもの 第十一話

だがそんなジューダスの淡い期待も虚しく、フレスベルグに捕まってジューダスの前に現れた人物は厄介な人物であった。



「・・・はぁっ!」
その人物の姿が見えると同時にジューダスは勢いよく剣を振る。するとその人物は咄嗟に一撃を喰らわないようにと足で剣を受け止めた。だがそのいきなりの一撃にフレスベルグは反応出来ず、その人物の手を離してしまい、何がなんだかわからないといった感じで混乱しきったようにふらふらになりながら今飛んで来た道を逆に戻っていった。
そしてこの場に残されたのはジューダスと・・・



「・・・いきなりなんなのさ」
ジューダスの攻撃に不機嫌になっているシンクだ。
「それは僕の台詞だ・・・お前はここに何をしにきた?」
何をしにきたというのは建前、実際はジューダスはシンクを少しでも会話をつなげて時間稼ぎして止めようという腹積もりだ。
「僕はその先に行ったアリエッタを連れ戻しにきただけだ・・・そこをどいてもらおうか」
この先にいるのはわかっていると、シンクは言外に告げる。
「断る。僕はお前を通す気はない」
「・・・ふぅん。最近アリエッタの様子がおかしかったとは思っていたけど、あんたとつながってたからだね。アリエッタをつけてきた甲斐があったよ」
その言葉にシンクはアリエッタから何か聞いてこちらに向かってきたわけではないと、若干安心する。
「それにまだ疑問がある・・・なんでこの街に人はいないんだい?」
シンクの冷たい声と強い視線に、舌打ちをしたくなるのをこらえてジューダスは敢えて強気な姿勢でシンクを挑発する。
「それを聞きたければ僕を倒す事だな。どっちみちここを通らなければアリエッタの元へは行けん。だが僕はここを通す気はない」
「・・・やけに自信たっぷりだね。いいよ、相手をしてあげる」
両手を胸の前でガッシリと合わせ、シンクは高々と名乗りをあげる。
「六神将烈風のシンク、行くよ」
シンクの名乗りと同時に互いが互い、計ったかのように前に走り出る。そしてジューダスとシンクが激突した瞬間、戦いの火ぶたは切って落とされた。










「着いた・・・!」
ジューダスとシンクの一騎打ちが始まったちょうどその頃、ルークはセフィロトの前へとたどり着いていた。




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