救う者と救われるもの 第十一話

護衛も無事に終わり二人に戻った事でルーク達の進行スピードはアップされ、再びアクゼリュスに半分程度の時間でたどり着いた。






誰もいないアクゼリュスへと舞い戻った二人は行く所など他にもいないために一刻も早くと二人は第十四坑道へと足早に入っていった。



「・・・待て、ルーク」
坑道の奥にあったセフィロトへと続く扉を通ろうとしたルークを呼び止めるジューダス。ルークは呼び止められ、怪訝な顔で律義に振り返る。
「どうしたんだ?ジューダス」
「・・・何か聞こえないか?今ここには誰にもいないはずだが・・・」
ジューダスが言った言葉に何々と耳をすませて音に注意を傾けると、なにやら『バサッ・・・バサッ・・・』という音が自分達が入って来た方向からルークの耳に聞こえてきた・・・アクゼリュスにはもう元々ここにいた魔物以外は誰もいない。静かな街には雑音など何一つない、坑道内も同様で異音など一つも響いていないために音を聞き取る事が出来たのだ。
「あっ、確かに聞こえる・・・それにこの音、なんか近づいてきてる・・・」
今度はルークの言葉にジューダスが聞き耳をたてる。それをよく聞いていくと、バサッという鳥らしき羽音の間隔が段々と短くはっきり聞こえてきた。
「・・・なんなんだろう、この音・・・」
今この場には自分達しかいない、動物の類が入ってくるとも思えない。ルークはなんなんだろうと首を傾げると同時に、ジューダスは目を見開いて勢いよくルークの肩を掴む。
「ルーク!急いで中に行け!ここは僕が食い止める!」
「え?ジューダス?」
いきなりのジューダスの変貌に訳が分からずルークは戸惑う。
「ここに誰かが来るはずがない!それにこの坑道にいる魔物ではあのような羽音は出ない!魔物が意図的にこちらに来る訳はない。だがあえて魔物はこちらに来ている・・・それを踏まえ、魔物を操れるような人物は誰がいると思う?」
ジューダスの言葉にルークは一瞬でその人物へとたどり着いてはっとした表情になった。
「・・・アリエッタ!」
「そういう事だ。アリエッタが来たか他の誰かが魔物を借りて来たかはわからんが、もし他の誰かが来たというなら戦闘になる可能性がある。聞いたところ羽音はひとつきり、ここは僕に任せて先にセフィロトへ行け!下手に時間を取れば僕たちの目論見が無駄になる可能性が出て来る!」
「・・・大丈夫なのか?ジューダス」
「・・・僕を信じろ、ルーク」
自信に満ちた笑みを浮かべるジューダスにルークはすぐさまセフィロトへと体を向ける。
「・・・すぐに戻るから、無事でいてくれよ。ジューダス」
ルークは一言ジューダスに告げると、全力でセフィロトへと走っていった。
(ふん、おまえに言われなくても持ちこたえてやるさ)
憎まれ口を心の中で呟きながらジューダスは徐々に近付きつつある羽音に警戒心を強めていく。



だが少しして現れた人物は少しジューダスにとっては意外な人物であった。



「大丈夫ですか!?」




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