救う者と救われるもの 第十一話

‘キィィィン’
ルークが解除に専心していると、唐突に扉が音をたてて扉が消え去ってしまう。その光景を開けた本人のルークは驚きを隠せず目を大きく開き、ジューダスはやはりと目を細めて策を早める決心をした。



「・・・ホントに消えたけど、これからどうするんだよ?ジューダス」
しばし無言の空間になった坑道内にルークの疑問符付きの声が響く。
「・・・とりあえずはまだアクゼリュスに残っている住民と兵士をカイツールまで送り届ける。正直なところで言えばこのまま扉の先に行きたい所だが、下手に手をこまねけば障気にやらねかねない者も出て来るかもしれん。中を調べるのはそれからだ」
ここはあくまでも住民達の命を優先にジューダスは意見を出す。仮説は更に出ては来る、だが仮説はあくまでも仮説。もしもの不測の事態だけは避けたい、ジューダスはこの場にいる住民達を巻き込む気はないからこそルークに慎重策の方を出した。
「そうか・・・うん、わかった」
優先すべきは人命、それを理解しているルークはジューダスの意見に従う。
「戻ろうジューダス」
「ああ」
そうと決まれば早く上に、坑道の中を駆け出し二人は来た道を急いで戻って行った。






駆け出した街の入口に二人が戻ると、既に兵士達により隊列が組まれ出発前と言った様相が確認できた。そして二人が隊列の先頭にいるパイロープの元に行く。
「パイロープさん、確認は終わったんですか?」
「はい、もうこれでアクゼリュスに住民は残っていません。これもあなた方のおかげです、本当にありがとうございます・・・」
涙混じりに言われる言葉に心が少しズキリと嬉しい痛みに見舞われるルーク。望んでいた物と過去の自分の業、二つの思いが攻めぎあうが故に痛みが嬉しくもありそれが業としてルークの心に痛みとして存在していた。
「礼などいい。それよりもこの街の代表者はあなたか?」
ジューダスがそのルークの気持ちに気付かないまま、パイロープに受け答えをする。そんな気持ちに浸っていたルークはジューダスの言葉に気を取り直し、パイロープを見つめ直す。
「はい、そうですが?」
「あなたの子供から伝言を預かってきた。『待っているから早く来て欲しい』、とな」
「そうですか・・・あいつには大分構ってやれなかったからなぁ。いっそのことこれを機にしばらくあいつとゆっくりするか」
ジューダスからの言葉に想うところがあるのだろう、しみじみとした感じで吐かれる言葉には子供に対する慈しみが感じ取れた。その言葉に反応したルークは顔を自信ありげに作り、パイロープに切り出した。
「大丈夫です、パイロープさんも他の人達も皆無事にカイツールまで護衛します。だから行きましょう」
「はい、わかりました」
そしてルークは兵士達へと振り返る。
「これから俺達は最後のアクゼリュスの人達をカイツールへと護衛します!行きましょう!」
「「「「はっ!」」」」
その一言を受け、一行はルークとジューダスを先頭としてアクゼリュスを後にしていった。





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