救う者と救われるもの 第十一話
だがそんな不安はどうしたものかと言うくらいに、二人はあっさりとデオ峠までたどり着いた。そのことにやはり杞憂だと内心でジューダスが考えていると、前から歩いてくる兵士とアクゼリュスの住民の団体をルーク達は発見した。
「ルーク様、ご無事でしたか?」
すると向こうの先頭に立っていた兵士もルーク達に気付いたようで、足を止めて敬礼をしてきた。
「はい、俺達は大丈夫です。その人達の次に来る人達が最後ですか?」
「はっ、ですが後残っている住民は代表者とまだ元気な者数十人といった所です。住民がまだ取り残されていないか、我が軍の兵士とともに最終確認をするため残っています」
「わかりました、俺達もアクゼリュスに向かって確認を取ってきますから後はお願いします」
「はっ!」
兵士の敬礼を受けてルーク達は急いでアクゼリュスへと向かおうと足を動かそうとする。だが、ルークは住民の集まりの中から出て来た一人の子供の顔を見て途端に足を止める。
「あー!この前お父さんと話してたお兄さんだ!」
自分達の顔を見て笑顔で近づいてくる子供を見てルークは絶句していた。
(あの時の・・・!)
その顔には確かに見覚えがある、ルークには・・・。何故ならアクゼリュスが崩壊した時、魔界の障気の海に沈んで行ったあの少年なのだから・・・
だが子供は全くルークの表情に気付く事なく笑顔で二人の目の前に来た。
「お兄さん達なんでしょ?アクゼリュスに兵隊さん達いっぱい連れてくるように言ってくれた人達って」
「・・・あぁ、そうだ」
子供の明るい顔とは正反対に暗く俯いて表情を見せる事が出来ていないルークを見て、ジューダスが子供との応対に応じる。
「お父さんすっごく喜んでたんだ!あの人達のおかげで皆無事にアクゼリュスを移動することが出来るって!」
「・・・父親と一緒ではないのか?」
「お父さんは責任者だからまだアクゼリュスに残ってるよ。ホントは僕もお父さんと一緒に残ってたかったんだけど、後から行くから先に行っててくれって」
「・・・そうか」
「ねぇ、お兄さん達はまたアクゼリュスに行くんでしょ?だったら一つお願いしてもいい?」
「なんだ?」
「お父さんに伝えて欲しいんだ、待ってるから早く来てねって!」
子供の天真爛漫さがいっぱいの笑顔の言葉に、ルークは勢いよく顔を上げる。
「・・・わかった、伝えよう・・・さぁ、もう行くんだ。このままここで話していてもお前の父親に伝言を伝える事は出来んぞ」
ルークの様子を横目で見ていたジューダスは子供に早く列に戻れと促す。
「うん、わかった!・・・でもそっちの朱い髪のお兄さんは大丈夫なの?なんかすっごく辛そうだけど・・・」
だが流石に子供にそのルークは不自然に見えていたらしく、はっきりと表情が見えている今ルークの心配をしてきた。
「・・・俺は、大丈夫。だからきみはお父さんをカイツールで待つんだ・・・いいね・・・」
「・・・うん、わかった・・・じゃあね、お兄さん達!」
無理した笑顔、傍目から見てすぐにわかる。それはジューダスだけでなく子供もそう思っていたようで、最初はルークの事を不審がって見ていたが、不思議と子供は声からなぜか信頼を感じ最後には笑顔で手を振って列へと戻っていった。
「・・・不安か?」
「・・・不安、とはちょっと違う、かな」
子供の後ろ姿を見ながら小声で会話をする二人。
「あの子の姿見たら魔界に落ちた時の事を思い出したんだ・・・」
「・・・その過去を変える為に僕たちはここに来たのだろう」
「うん・・・変えるんだ、俺達が・・・行こうジューダス」
「あぁ」
先程までの動揺の表情は消え去っている、それを見て取りジューダスはルークとともに再びアクゼリュスの方へと列を逆進行して歩いていった。
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「ルーク様、ご無事でしたか?」
すると向こうの先頭に立っていた兵士もルーク達に気付いたようで、足を止めて敬礼をしてきた。
「はい、俺達は大丈夫です。その人達の次に来る人達が最後ですか?」
「はっ、ですが後残っている住民は代表者とまだ元気な者数十人といった所です。住民がまだ取り残されていないか、我が軍の兵士とともに最終確認をするため残っています」
「わかりました、俺達もアクゼリュスに向かって確認を取ってきますから後はお願いします」
「はっ!」
兵士の敬礼を受けてルーク達は急いでアクゼリュスへと向かおうと足を動かそうとする。だが、ルークは住民の集まりの中から出て来た一人の子供の顔を見て途端に足を止める。
「あー!この前お父さんと話してたお兄さんだ!」
自分達の顔を見て笑顔で近づいてくる子供を見てルークは絶句していた。
(あの時の・・・!)
その顔には確かに見覚えがある、ルークには・・・。何故ならアクゼリュスが崩壊した時、魔界の障気の海に沈んで行ったあの少年なのだから・・・
だが子供は全くルークの表情に気付く事なく笑顔で二人の目の前に来た。
「お兄さん達なんでしょ?アクゼリュスに兵隊さん達いっぱい連れてくるように言ってくれた人達って」
「・・・あぁ、そうだ」
子供の明るい顔とは正反対に暗く俯いて表情を見せる事が出来ていないルークを見て、ジューダスが子供との応対に応じる。
「お父さんすっごく喜んでたんだ!あの人達のおかげで皆無事にアクゼリュスを移動することが出来るって!」
「・・・父親と一緒ではないのか?」
「お父さんは責任者だからまだアクゼリュスに残ってるよ。ホントは僕もお父さんと一緒に残ってたかったんだけど、後から行くから先に行っててくれって」
「・・・そうか」
「ねぇ、お兄さん達はまたアクゼリュスに行くんでしょ?だったら一つお願いしてもいい?」
「なんだ?」
「お父さんに伝えて欲しいんだ、待ってるから早く来てねって!」
子供の天真爛漫さがいっぱいの笑顔の言葉に、ルークは勢いよく顔を上げる。
「・・・わかった、伝えよう・・・さぁ、もう行くんだ。このままここで話していてもお前の父親に伝言を伝える事は出来んぞ」
ルークの様子を横目で見ていたジューダスは子供に早く列に戻れと促す。
「うん、わかった!・・・でもそっちの朱い髪のお兄さんは大丈夫なの?なんかすっごく辛そうだけど・・・」
だが流石に子供にそのルークは不自然に見えていたらしく、はっきりと表情が見えている今ルークの心配をしてきた。
「・・・俺は、大丈夫。だからきみはお父さんをカイツールで待つんだ・・・いいね・・・」
「・・・うん、わかった・・・じゃあね、お兄さん達!」
無理した笑顔、傍目から見てすぐにわかる。それはジューダスだけでなく子供もそう思っていたようで、最初はルークの事を不審がって見ていたが、不思議と子供は声からなぜか信頼を感じ最後には笑顔で手を振って列へと戻っていった。
「・・・不安か?」
「・・・不安、とはちょっと違う、かな」
子供の後ろ姿を見ながら小声で会話をする二人。
「あの子の姿見たら魔界に落ちた時の事を思い出したんだ・・・」
「・・・その過去を変える為に僕たちはここに来たのだろう」
「うん・・・変えるんだ、俺達が・・・行こうジューダス」
「あぁ」
先程までの動揺の表情は消え去っている、それを見て取りジューダスはルークとともに再びアクゼリュスの方へと列を逆進行して歩いていった。
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