救う者と救われるもの 第十話

「・・・やはり居場所位は確認するべきだろうな」
リグレットはどうするべきなのかとの結論をつけたようで、その言葉を聞いたアッシュとアリエッタは表情を歪める。しかしアッシュは一瞬だけでその表情を消して普通の表情に戻す。
「アッシュの案に従うの?リグレット」
「あぁ、今からアリエッタに様子を探らせようかと思っているのだが・・・大丈夫か、アリエッタ?」
だがやはりアリエッタは表情を偽る事は無理なようで、不安げな表情を隠しきれずにリグレットから指摘を受ける。ただ、唯一の救いはリグレットがその表情を体調が良くないのではないかと見ている事だ。
「具合が優れないようなら誰か適当な兵にでもアリエッタの友達を貸してくれればそいつに行ってもらうが・・・」
「・・・アリエッタ、大丈夫です。だからルークの所、アリエッタが行く、です」
アリエッタはその言葉に決意をしたようで、表情を強く引き締めリグレットに強く返事を返す。
「そうか。ならすぐにケセドニアに向かってくれ。結果を確認したらすぐにこっちに戻って来て構わないからな」
「わかった、です」
返答をすぐさま返すと、アリエッタは近くにいたフレスベルグを手を上げて呼び寄せ、フレスベルグの足に捕まえられると一目散に飛びたっていった。



「さて・・・これでいいのか?アッシュ」
「・・・あぁ」
アリエッタを見送った後、自分の方を振り返り確認を取ってきたリグレットの声に不機嫌さを隠せずいらついた態度で返事を返す。
「何ピリピリしてるのさ。レプリカルークを自分の手で殺せないのにいらついてるの?」
「・・・うるせぇ、話がもうないなら俺は部屋に戻るぞ」
アッシュはシンク達にそう言いはしたが、話を聞きたいとも思ってもいないようでさっさと肩を怒らせながら早歩きでその場を去っていった。










「・・・旦那、行くに決まってるだろう。それは」
「そうですよぅ、行かないでどうするんですかぁ」
「決まりですね、大佐」
「そうですわ、だから早く考えましょう。アクゼリュスに無事にたどり着くために安全な方法を」
「えぇ、そうですね。では考えましょう・・・」



「・・・ちっ!このままだったらいずれルークは六神将に見つかる・・・かと言ってルークはこのことを知らねぇ・・・何をしてやがるか知らないが、あいつに早くこの事を知らせねぇと・・・」



「ルーク、このままだったら危険、です・・・この事、早く知らせなくちゃ・・・」



「ルークに追い付く為の方法を」
「なんとかルークにこのことを伝えねぇと・・・」
「アリエッタ、ルークの所に急いで行く、です」





絶望へと誘う深淵の地へと向かう焔に、各々の想いを寄せる面々
運命の時は刻々と近づいてゆく




「・・・ねぇ、リグレット。話があるんだけど・・・」




だが運命がいつも良いように転ぶとは限らない・・・



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