救う者と救われるもの 第十話

「どうするって大佐・・・行くに決まっています!アクゼリュスに!」
「そうですわ!アクゼリュスにルークが向かっているのがわかっているというのに、何故ここでただ待つなどと言えましょうか!」
息を吐きながら出されたジェイドの一言にすかさず二人はアクゼリュスに行く事を宣言する。
「・・・二人がそういうのは想像出来ていました。恐らくアニスとガイに聞いても同じ答えが帰ってきたでしょうねぇ」
「大佐、なら今からアクゼリュスに・・・」
「落ち着いて下さい、ティア、ナタリア。アクゼリュスには私も行くべきだと思っています。ですが、私はアクゼリュスには行かない方がいいとも思っています」
「何故ですの!?ジェイド!!」
自分達への同調から一転した意見を言うジェイドに息が荒くなるナタリア。
「ここまでで私達はおろか、六神将やモースにもルーク達の情報は行き届いていない。そのことからジューダスという人物の目論見は確実に誰にも見つからないようにアクゼリュスを救う事だと思われます。そこで私達がアクゼリュスに何の考え無しに行って後を追ってでも来た六神将の妨害が入れば彼の目論見も崩れるでしょう・・・今やアクゼリュス住民の命運を握っているのは私達ではなく彼らであって、迂闊に行動すればルークだけでなくアクゼリュス住民まで六神将やモースの手の者により危険になる可能性が高い。だからちゃんとした対策を取らなければ危ないという意味で行かない方がいいと言ったんですよ。もし待つ場合であれば、彼らにアクゼリュスを任せて我らはイオン様を守ればいいかと思います。セフィロトへと続く扉さえ開けなければパッセージリングの破壊は出来ませんからね」
「「・・・」」
ジェイドに言われた言葉に、二人は神妙な顔をして黙り込む。自らの行動がルークの足手まといなことを引き起こしてしまうかもしれない、そう思った二人はただ何も言わず考え込む。それを見たジェイドは自らの決断をどうするべきかと迷う二人を、ただ静かに待つ事にした。






「・・・行きましょう、大佐」
数分程経った時、ティアが決意に満ちた顔でナタリアより先に口を開いた。
「私は・・・いえ、私達はルークを待つ為に過去に戻ってきたわけではありません。ただルークが帰るのを待つなんて出来るわけがない・・・」
「・・・そうですわね。私もただルークを待つだけなんて嫌ですわ」
そのティアの言葉にナタリアも同調する。
「・・・あなた方ならそういうと思っていましたよ。ですが、行くなら二人に確認を取ってからです。更にルーク達の邪魔にならないよう対策を考えてからです。よろしいですね?」
ジェイドは予想通りといった感じで返しながら、二人にその条件の同意を取る。二人は即座にえぇと首を縦に振り、条件を了解した。
「では二人にこの話をしに行きましょう」
ジェイドのその言葉を合図に、三人は席を立ち上がり部屋をその流れのまま出て行った。





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