救う者と救われるもの 第九話
そんな二人は何事もなくバチカルに到着した。
「ふう・・・」
船の上では脱いでいた法衣を再び纏い、少し疲れ気味な声をルークは出しながら辺りをキョロキョロ見渡す。
「・・・あまり周りを見渡すな。挙動不審だ」
「あっ・・・うん」
横のジューダスがその行動に制止をかける。確かに顔の見えないフードを被った人物がそういった行動をとれば不自然極まりない。ダアトの法衣を着ていても怪しいのは否定できない。
「・・・周りに知り合いがいないかを疑うのはよせ。法衣を着ているのだから何もしないでまっすぐ前を向いていればいい・・・早く上にいくぞ。時間が惜しい」
「うん、行こう」
ジューダスの言葉に、ルークが先頭に立って道案内がてら先を進んで行った。
そしてバチカルの最上部へと、足を踏み入れた二人。二人がファブレ邸の前を通りすぎようとしたとき、ルークは少し寂しそうに屋敷をちらっと見る。
(ガイ・・・今家にいるのかなぁ・・・ナタリア・・・母上の見舞いに来てるのかなぁ・・・会えないってわかってやってるっていっても会いたいなぁ・・・)
しかし今は会ってはいけないとルークも理解している、だが会いたいという気持ちもあるため屋敷を少しだけ見るだけにルークは留めた。
ファブレ邸の横を通りすぎ、城の前にたどり着くと扉の横にいる兵士にルークが話し掛ける。
「あの・・・すみません。陛下に内密で話を取りつげるようにしてもらえませんか?重大な話があるんです、陛下に・・・」
話をしている最中、フードを少し上にあげ、意図的に顔を兵士に見せる。
「あ、あなたは・・・ルー「シー!!・・・お願いです、秘密じゃないと困ることなので陛下と二人きりで極秘に話せるように取り次いでください。陛下以外に俺のことを知られないようにお願いします・・・」
兵士はルークに気付いたようで、大声をあげようとしたが、ルークに急いで制止を喰らう。言われた兵士はルークのあまりの剣幕と、重要だという話という事を聞いたので、ただただコクりと頷き城の中に急いで入っていった。
その兵士が戻るのを静かに待っていると、十五分程して兵士がこちらに戻ってきた。
「お待たせ致しました。陛下は自らの私室でお待ちになるとの事です」
「・・・わかりました、ありがとうございます」
自らの言葉に答えてくれた兵士に頭を下げ、ルークはジューダスとともに城の中へ入っていった。
陛下の私室の前にたどり着き、ドアを開けようとするルーク。しかし少しためらいがちな手の震えかたをしている。
「・・・大丈夫か?」
それを見て、ジューダスが小声でルークを気遣う。
「・・・うん」
大丈夫だとルークは返してはいるが、ジューダスにはまだ不安そうに見える。だが無理もない、ジューダスはルークに一番重要な場面はここだと話した。すなわちここを失敗すれば今までの流れを崩しかねないと。イマイチ自分の喋りに自信を持てないルークからすれば、不安になるのは当然だとジューダスは思った。
「・・・心配するな、お前は自分の言いたいことを言えばいいんだ」
ルークの後押しをしようと、ジューダスが励ます。
「もしお前がうまくやれなくても僕がお前を助けてやる。だから・・・失敗を恐れるな」
「・・・ありがとう」
ジューダスの言葉に顔色を新たにルークは礼を言う。不安さが吹き飛んだルークは意を決して、陛下の部屋の扉を開けた。
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「ふう・・・」
船の上では脱いでいた法衣を再び纏い、少し疲れ気味な声をルークは出しながら辺りをキョロキョロ見渡す。
「・・・あまり周りを見渡すな。挙動不審だ」
「あっ・・・うん」
横のジューダスがその行動に制止をかける。確かに顔の見えないフードを被った人物がそういった行動をとれば不自然極まりない。ダアトの法衣を着ていても怪しいのは否定できない。
「・・・周りに知り合いがいないかを疑うのはよせ。法衣を着ているのだから何もしないでまっすぐ前を向いていればいい・・・早く上にいくぞ。時間が惜しい」
「うん、行こう」
ジューダスの言葉に、ルークが先頭に立って道案内がてら先を進んで行った。
そしてバチカルの最上部へと、足を踏み入れた二人。二人がファブレ邸の前を通りすぎようとしたとき、ルークは少し寂しそうに屋敷をちらっと見る。
(ガイ・・・今家にいるのかなぁ・・・ナタリア・・・母上の見舞いに来てるのかなぁ・・・会えないってわかってやってるっていっても会いたいなぁ・・・)
しかし今は会ってはいけないとルークも理解している、だが会いたいという気持ちもあるため屋敷を少しだけ見るだけにルークは留めた。
ファブレ邸の横を通りすぎ、城の前にたどり着くと扉の横にいる兵士にルークが話し掛ける。
「あの・・・すみません。陛下に内密で話を取りつげるようにしてもらえませんか?重大な話があるんです、陛下に・・・」
話をしている最中、フードを少し上にあげ、意図的に顔を兵士に見せる。
「あ、あなたは・・・ルー「シー!!・・・お願いです、秘密じゃないと困ることなので陛下と二人きりで極秘に話せるように取り次いでください。陛下以外に俺のことを知られないようにお願いします・・・」
兵士はルークに気付いたようで、大声をあげようとしたが、ルークに急いで制止を喰らう。言われた兵士はルークのあまりの剣幕と、重要だという話という事を聞いたので、ただただコクりと頷き城の中に急いで入っていった。
その兵士が戻るのを静かに待っていると、十五分程して兵士がこちらに戻ってきた。
「お待たせ致しました。陛下は自らの私室でお待ちになるとの事です」
「・・・わかりました、ありがとうございます」
自らの言葉に答えてくれた兵士に頭を下げ、ルークはジューダスとともに城の中へ入っていった。
陛下の私室の前にたどり着き、ドアを開けようとするルーク。しかし少しためらいがちな手の震えかたをしている。
「・・・大丈夫か?」
それを見て、ジューダスが小声でルークを気遣う。
「・・・うん」
大丈夫だとルークは返してはいるが、ジューダスにはまだ不安そうに見える。だが無理もない、ジューダスはルークに一番重要な場面はここだと話した。すなわちここを失敗すれば今までの流れを崩しかねないと。イマイチ自分の喋りに自信を持てないルークからすれば、不安になるのは当然だとジューダスは思った。
「・・・心配するな、お前は自分の言いたいことを言えばいいんだ」
ルークの後押しをしようと、ジューダスが励ます。
「もしお前がうまくやれなくても僕がお前を助けてやる。だから・・・失敗を恐れるな」
「・・・ありがとう」
ジューダスの言葉に顔色を新たにルークは礼を言う。不安さが吹き飛んだルークは意を決して、陛下の部屋の扉を開けた。
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