救う者と救われるもの 第九話

ここでまた時間が戻り、ティア達がバチカルへと向かう船の中にいるときルークとジューダスの二人はケセドニアに到着していた。




「ふう・・・」
船から降りて一心地着いた溜息を漏らすダアトの法衣を着た男、いや違う。この法衣を纏った男がルークなのだ。
「ルーク、バチカルに出す手紙は書き終わったか?」
そこに横にいたルークと同様に、ダアトの法衣を纏ったジューダスが確認を取ってくる。
うん、大丈夫。これをバチカルの俺の家に出すんだろ?」
「あぁ、そうだ。書いているなら早く領事館に行くぞ。この手紙は一刻も早くバチカルに送らねば効果が無くなるからな」
「わかった、行こう」
そのジューダスの言葉に、ルークが足を速めて領事館の方へ向かう。ジューダスもその後に続き、ケセドニアの街の中を早足で領事館へ向かっていった。




「すみません、この手紙をバチカルのファブレ公爵邸まで急いで飛ばしてくれませんか?」
領事館に入るなり、受付の女の人に手紙を出す事をお願いするルーク。
「・・・ルーク様ですね。お話はアルマンダイン伯爵の使いの兵士の方から聞いております。ヴァン謡将と導師イオン率いるマルクトからの和平の使者一行はつい先日ここを発たれました」
ルーク達の様相を確認すると女の人は周りの様子を見渡した後声を抑え、その時の報告を行う。
「船はそろそろ出発の用意が整うとのことですので、お手紙はこちらに預けられてルーク様は船に乗られて下さい。私が責任を持って鳩を飛ばしますので」
「はい、ありがとうございます」
ルークは手紙を受付の女の人に渡すと、フードを一瞬だけ取って礼をした後ジューダスとともに領事館を後にした。




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