救う者と救われるもの 第一話
「うっ・・・クッ・・・ここは・・・?」
そのころジューダスも意識を取り戻していた。
「・・・また僕は生きているのか。フン、死神は余程僕の事が嫌いらしい」
仰向けの状態でジューダスは「皮肉だな」と付け加え、自嘲的な笑みを浮かべた。自らの生に内心戸惑ってもいるが、時空移動に巻き込まれた事から、生きている事はある意味必然でもあると理解していた。だからこそ冷静な態度でジューダスはいられた。
「・・・しかしフォルトゥナは完全に倒した筈だ。エルレインとリアラは共に消滅した。なら誰が・・・」
ジューダスは仰向けの状態のままで時空移動の原因を考えていた。時空移動にはそれこそ神の力が必要になる。しかし、フォルトゥナを倒した今ジューダスには全く心当たりがなかった。わからないことを考えようとジューダスがふと手を頭に置こうとするとある異変に気づいた。
「仮面・・・がない・・・」
手が顔の上を通る時にやけに視界が広い事に気付き、原因が何かと詮索すれば答えは一つだった。仮面が無いと気付いた瞬間ジューダスは勢いよく立ち上がり、辺りを見渡し始めた。しかし、周りに仮面は見つからない。その事に、ジューダスは焦っていた。
「確かにあそこまではあった!!何故だ!?」
時空移動に巻き込まれるまでは確かにジューダスは仮面を着けていた。ここに落ちた時に外れてしまったのかと辺りを見渡しても何もない。
「くそっ!!」
どんなに確認しても仮面は出てこない。その事がジューダスの焦りを更に煽っていく。
(ここが何処かは知らんが、ファンダリアではなさそうだ。もしかしたらクレスタ付近かもしれん。顔を見られたら・・・)
自分の顔を覚えている人がいる時代に飛ばされた可能性がある、このような形でかつての仲間達に会うのは避けたい。そうジューダスは考えていた。
「おい、にいちゃん。どうしたんだ?こんな所で」
ジューダスが未だに仮面を探していると、馬車を引き連れた中年が現れた。
(・・・代わりの仮面は後で探すか。今は現在地を知る事が重要だ)
「道に迷ってここに来てしまったんだ。すまんがここは何処だ?」
「ここはマルクト領のタタル渓谷だよ」
男から情報を聞き出そうとしていたジューダスだったが、男の言葉を聞いた瞬間ジューダスは完全にフリーズしてしまった。
(・・・どういうことだ?ここは僕が生きていた時間軸ではないのか?マルクト領という言葉から察するに少なくとも過去や現在でもない。・・・ならば未来か?)
思考をフル回転させ現状を把握しようとしているジューダス。
「道に迷ってるって言ってたけど、にいちゃんキムラスカ人か?」
思考中のジューダスに男から新たな言葉が投げ掛けられた。キムラスカ人とはどういうことだと聞きたい気持ちもジューダスはあったが、下手な事は言えないと思い曖昧な返事を返した。「いや、どちらでもない」「って事はダアトから来たんだな?なら道に迷うのは仕方ないな」
また新たな言葉、ジューダスは出てくる一言一言にある可能性を思い浮かべた。(まさかここは異世界なのか・・・?)
次々現れる知らない単語に否定出来ない何かを考えはじめているジューダス。しかし、何百年も経てば地名も変わるという可能性も否定出来ないため判断に困っていた。
思考の渦に陥っているジューダス。すると渓谷の奥から二人とは別の二人分の気配が近付いてきた。誰が来ると自然に警戒したジューダスの前に現れた人物は軍の制服を着た女と、ジューダスの顔を見て異様な程驚いている朱色の髪の男だった。
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そのころジューダスも意識を取り戻していた。
「・・・また僕は生きているのか。フン、死神は余程僕の事が嫌いらしい」
仰向けの状態でジューダスは「皮肉だな」と付け加え、自嘲的な笑みを浮かべた。自らの生に内心戸惑ってもいるが、時空移動に巻き込まれた事から、生きている事はある意味必然でもあると理解していた。だからこそ冷静な態度でジューダスはいられた。
「・・・しかしフォルトゥナは完全に倒した筈だ。エルレインとリアラは共に消滅した。なら誰が・・・」
ジューダスは仰向けの状態のままで時空移動の原因を考えていた。時空移動にはそれこそ神の力が必要になる。しかし、フォルトゥナを倒した今ジューダスには全く心当たりがなかった。わからないことを考えようとジューダスがふと手を頭に置こうとするとある異変に気づいた。
「仮面・・・がない・・・」
手が顔の上を通る時にやけに視界が広い事に気付き、原因が何かと詮索すれば答えは一つだった。仮面が無いと気付いた瞬間ジューダスは勢いよく立ち上がり、辺りを見渡し始めた。しかし、周りに仮面は見つからない。その事に、ジューダスは焦っていた。
「確かにあそこまではあった!!何故だ!?」
時空移動に巻き込まれるまでは確かにジューダスは仮面を着けていた。ここに落ちた時に外れてしまったのかと辺りを見渡しても何もない。
「くそっ!!」
どんなに確認しても仮面は出てこない。その事がジューダスの焦りを更に煽っていく。
(ここが何処かは知らんが、ファンダリアではなさそうだ。もしかしたらクレスタ付近かもしれん。顔を見られたら・・・)
自分の顔を覚えている人がいる時代に飛ばされた可能性がある、このような形でかつての仲間達に会うのは避けたい。そうジューダスは考えていた。
「おい、にいちゃん。どうしたんだ?こんな所で」
ジューダスが未だに仮面を探していると、馬車を引き連れた中年が現れた。
(・・・代わりの仮面は後で探すか。今は現在地を知る事が重要だ)
「道に迷ってここに来てしまったんだ。すまんがここは何処だ?」
「ここはマルクト領のタタル渓谷だよ」
男から情報を聞き出そうとしていたジューダスだったが、男の言葉を聞いた瞬間ジューダスは完全にフリーズしてしまった。
(・・・どういうことだ?ここは僕が生きていた時間軸ではないのか?マルクト領という言葉から察するに少なくとも過去や現在でもない。・・・ならば未来か?)
思考をフル回転させ現状を把握しようとしているジューダス。
「道に迷ってるって言ってたけど、にいちゃんキムラスカ人か?」
思考中のジューダスに男から新たな言葉が投げ掛けられた。キムラスカ人とはどういうことだと聞きたい気持ちもジューダスはあったが、下手な事は言えないと思い曖昧な返事を返した。「いや、どちらでもない」「って事はダアトから来たんだな?なら道に迷うのは仕方ないな」
また新たな言葉、ジューダスは出てくる一言一言にある可能性を思い浮かべた。(まさかここは異世界なのか・・・?)
次々現れる知らない単語に否定出来ない何かを考えはじめているジューダス。しかし、何百年も経てば地名も変わるという可能性も否定出来ないため判断に困っていた。
思考の渦に陥っているジューダス。すると渓谷の奥から二人とは別の二人分の気配が近付いてきた。誰が来ると自然に警戒したジューダスの前に現れた人物は軍の制服を着た女と、ジューダスの顔を見て異様な程驚いている朱色の髪の男だった。
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