救う者と救われるもの 第八話

城の入り口の扉を開け、階段を降りて辺りを見渡すジェイド。するとファブレ公爵邸からガイとともに、見覚えのある女性が危機迫る表情でこちらに駆け寄ってきた。
「大佐!!なんでルークは一緒に戻って来ていないのですか!?」
その女性はやはりナタリア。ガイからナタリアは事情を把握していないのか、ジェイドの胸ぐらを掴まんばかりの勢いだ。
「ガイ、事情は説明していないのですか?」
「し、仕方ないだろう・・・戻ってくるなりナタリアが何故ルークは戻ってこないのですか!!って俺に近付くもんだから・・・」
少し疲れたようなガイの言葉に、ジェイドはその場面を簡単に想像出来た。何故何故と詰め寄るナタリアに、未だ完璧に女性恐怖症を克服しきれていないガイが逃げ惑う姿を。
「・・・事情なら今から説明します」
この様子ではガイが説明してもナタリアの動きで話が長引く可能性が高い、そう思ったジェイドは眼鏡を手で押し上げながら自らが説明すると言い出す。
「つきまして、ゆっくり話せる場所に行きたいのですが・・・」
ジェイドは言葉を不意に止める。そのジェイドは何かを凝視しているような感じだったので、その視線の先を二人が辿る。すると視線の先にいたのは何やらダアトの法衣を着て、備えつきのフードを深く被った人物がこちらに向かってきているものだった。そしてその人物はジェイド達の目の前にくると、周りに聞こえないようにと抑えられた声を出す。
「おい、どういう事だ。死霊使い。どうしてルークはここにいねぇ?」
「その声は・・・アッ「ナタリア、大きな声をあげないであげて下さい。今の彼は立場上ではまだ私達の味方ではありません。彼もそれをわかっているからこうして法衣を纏ってきているんですよ」」
法衣を着たアッシュに気付いたナタリアは嬉しそうに声をあげかけるが、ジェイドに制止をくらう。
「それよりもナタリア、ルークから手紙が届いたと聞きましたがその手紙はあなたが持っていますか?」
「えぇ、ガイから話を聞きましたのでおじさまから預かってまいりましたわ」
そういうとナタリアは手元から手紙を取りだす。
「おい、死霊使い。手紙とはどういう事だ?」
そこにアッシュの疑問の声がかかる。
「・・・この際丁度いいです。今までの状況整理を含めてゆっくり話をおこないましょう。つきまして、まずはゆっくり話せる場所に行きましょう。いいですか?二人とも」
「「えぇ(ああ)」」
若干ゴチャゴチャしつつある状況をまとめようと、ジェイドはバチカルの街の方へと三人を引き連れて歩いていった。





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