救う者と救われるもの 第八話
船は程なくして、すぐに港にたどり着いた。港の埠頭から歩いて行くと、以前と同じようにゴールドバーグ将軍とセシル少将が入口で待ち構えていた。
「お初にお目にかかります。キムラスカ・ランバルディア王国軍第一師団師団長のゴールドバーグです。この度は和平の使者としてマルクト帝国の方が来られていると聞きましたが」
「ローレライ教団導師イオンです。マルクト帝国皇帝ピオニー九世陛下に請われ親書をお持ちいたしました。国王インゴベルト六世陛下にお取り次ぎ願えますか?」
「無論です。皆様のことはこのセシル将軍が責任を持って城にお連れします」
「セシル少将であります。よろしくお願い致します」
丁寧に頭を下げるセシル少将を見て、ガイが近寄られても平気な距離を保ちながら自己紹介がてら質問をする。
「失礼、よろしいでしょうか?私はルーク様の使用人のガイといいます。私はルーク様捜索の任を受けていたのですが、私はルーク様と合流出来ず、ルーク様は私より先にケセドニアからバチカルへの船に乗られたため、一足遅くルーク様と合流出来ずにバチカルに戻ってきました。つきましてはルーク様は現在どこにおられるかご存じですか?」
結局ルークに追い付く事は出来なかった訳だが、バチカルが目的地なのは一緒。ならばここで再会出来るだろうから場所を聞き次第早くルークに会いに行こう、とガイは思っていた。
「・・・ルーク様はまだバチカルには帰還しておられません」
「「「えっ!?」」」
しかしセシル少将から帰ってきた返事は帰還していないと簡潔に一言。その一言にティアとアニスとガイは声と顔に分かりやすく驚きに出し、ジェイドとヴァンは表情に一瞬だけ驚きの揺らぎを見せた。
「ケセドニアからルーク様の手紙が届きました。その内容によると、『慣れない旅による疲れで体調を崩したため、少しケセドニアで体調を整えてから戻る』との事です」
「そんな・・・確かに領事館には名前が書かれていたのに・・・」
「・・・他にも何か書かれていたようですが、私は手紙を読んでいません。手紙は公爵邸に届きましたので、詳しい内容は邸に戻られて確認して下さい」
そのセシル少将の言葉を受け、ガイはジェイド達を見渡す。
「申し訳ない、俺は先に公爵邸に戻らせてもらう。城で謁見が終わる頃にはそっちに向かうから」
「ええ、わかりました」
「それでは失礼します」
ジェイドの了承を獲られると同時に、セシル少将達に礼をとってガイは全速力で走ってさって行った。
「・・・それではご案内致します」
ガイの後ろ姿を見送ったセシル少将が若干言い出しにくそうに申し出る。
「はい、お願いします」
「ではこちらです」
そういうとセシル少将は先頭を歩きだし、イオンはその後をついていく。ジェイド達も釈然としない顔をながらも、その後をついていく。
「大佐・・・これもジューダスとかいう人の考えだと思いますか?」
ティアが小声でジェイドに話しかける。
「・・・可能性は非常に高いと思います、ですがバチカル一歩手前という状況でケセドニアにとどまる理由があると思いますか?」
「・・・ありません」
「そうです。ケセドニアにとどまらなければいけない理由、それがはっきりしないことには一概にジューダスの考えとは言えません」
「・・・」
「それを考えても仕方がありません。今は城に向かいましょう」
「・・・はい」
ジューダスという不安要素が抜けきれない今、またルークに会えないかもしれない。その気持ちを抑えるためにジェイドに聞いたティア。しかし今は目の前の事に集中するしかないとジェイドに諭されたため、ティアはルークの事を心で気にしながらもイオンの後をついていった。
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「お初にお目にかかります。キムラスカ・ランバルディア王国軍第一師団師団長のゴールドバーグです。この度は和平の使者としてマルクト帝国の方が来られていると聞きましたが」
「ローレライ教団導師イオンです。マルクト帝国皇帝ピオニー九世陛下に請われ親書をお持ちいたしました。国王インゴベルト六世陛下にお取り次ぎ願えますか?」
「無論です。皆様のことはこのセシル将軍が責任を持って城にお連れします」
「セシル少将であります。よろしくお願い致します」
丁寧に頭を下げるセシル少将を見て、ガイが近寄られても平気な距離を保ちながら自己紹介がてら質問をする。
「失礼、よろしいでしょうか?私はルーク様の使用人のガイといいます。私はルーク様捜索の任を受けていたのですが、私はルーク様と合流出来ず、ルーク様は私より先にケセドニアからバチカルへの船に乗られたため、一足遅くルーク様と合流出来ずにバチカルに戻ってきました。つきましてはルーク様は現在どこにおられるかご存じですか?」
結局ルークに追い付く事は出来なかった訳だが、バチカルが目的地なのは一緒。ならばここで再会出来るだろうから場所を聞き次第早くルークに会いに行こう、とガイは思っていた。
「・・・ルーク様はまだバチカルには帰還しておられません」
「「「えっ!?」」」
しかしセシル少将から帰ってきた返事は帰還していないと簡潔に一言。その一言にティアとアニスとガイは声と顔に分かりやすく驚きに出し、ジェイドとヴァンは表情に一瞬だけ驚きの揺らぎを見せた。
「ケセドニアからルーク様の手紙が届きました。その内容によると、『慣れない旅による疲れで体調を崩したため、少しケセドニアで体調を整えてから戻る』との事です」
「そんな・・・確かに領事館には名前が書かれていたのに・・・」
「・・・他にも何か書かれていたようですが、私は手紙を読んでいません。手紙は公爵邸に届きましたので、詳しい内容は邸に戻られて確認して下さい」
そのセシル少将の言葉を受け、ガイはジェイド達を見渡す。
「申し訳ない、俺は先に公爵邸に戻らせてもらう。城で謁見が終わる頃にはそっちに向かうから」
「ええ、わかりました」
「それでは失礼します」
ジェイドの了承を獲られると同時に、セシル少将達に礼をとってガイは全速力で走ってさって行った。
「・・・それではご案内致します」
ガイの後ろ姿を見送ったセシル少将が若干言い出しにくそうに申し出る。
「はい、お願いします」
「ではこちらです」
そういうとセシル少将は先頭を歩きだし、イオンはその後をついていく。ジェイド達も釈然としない顔をながらも、その後をついていく。
「大佐・・・これもジューダスとかいう人の考えだと思いますか?」
ティアが小声でジェイドに話しかける。
「・・・可能性は非常に高いと思います、ですがバチカル一歩手前という状況でケセドニアにとどまる理由があると思いますか?」
「・・・ありません」
「そうです。ケセドニアにとどまらなければいけない理由、それがはっきりしないことには一概にジューダスの考えとは言えません」
「・・・」
「それを考えても仕方がありません。今は城に向かいましょう」
「・・・はい」
ジューダスという不安要素が抜けきれない今、またルークに会えないかもしれない。その気持ちを抑えるためにジェイドに聞いたティア。しかし今は目の前の事に集中するしかないとジェイドに諭されたため、ティアはルークの事を心で気にしながらもイオンの後をついていった。
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