救う者と救われるもの 第七話

二人はその後、アクゼリュスから一夜を眠らず強行軍で港まで戻っていった。
港までルーク達がたどり着いた時、入口には二つの袋を持っているアルマンダイン伯爵が立っていた。
「ルーク様!!お待ちしていました!!」
二人を見かけるなり、こちらに駆け寄ってくるアルマンダイン。
「こちらが頼まれていたものです」
そういうと、アルマンダインは持っていた袋をルークとジューダスの二人に渡していく。渡された袋を除きこんだジューダスは、中身を確認する。
「・・・感謝します、アルマンダイン伯爵」
この袋の中身はジューダスが頼んだもの、予想通りのものが来たことにジューダスは感謝の意を示す。
「いえ、これくらいの事は当然です。船は用意しておりますが、今すぐ乗られますか?私が見られたところ、お二人ともあまり体調が優れないように思われますが・・・」
確かに二人の目にはクマがありありと浮かんでいる。
「いや、大丈夫です。今すぐ船を出してください」
「・・・ハッ、かしこまりました!!」
ルークの強い意思の篭った瞳に、反論せずに了承を返すアルマンダイン。その了承の言葉を受け、ルーク達は船の方へと向かっていった。





「ふう・・・」
船室のベッドで仰向けになって一息ついた溜め息をだすルーク。
「わかってると思うが・・・これからが重要だ。疲れを残さないように今のうちに寝ておけ」
向かいのベッドで寝る体勢に入る前に、ジューダスが念を押す。
「・・・バチカル、か」
ジューダスが言うには、これからのバチカルでの行動が自分達の運命を左右するという。
「なぁ、ジューダス」
「・・・何だ?」
「・・・お休み」
「・・・あぁ」
今は先の事は考えずに寝よう、今の自分には休息が必要だから。迫りくる時を前にルークは静かに目を閉じた。




深淵を変えるための運命の時は近い。二人の英雄はしばしの時を休息とする



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