救う者と救われるもの 第七話

「・・・想像以上だな、まさかここまでとは・・・」
アクゼリュスに到着したルーク達、街の現状にジューダスが顔を歪めて呟く。
「でも・・・前よりなんか障気の色が薄い気がするんだけど・・・」
そうルークがジューダスに話かける。確かに若干ではあるが、以前来た時より障気の色はこころなしかうっすらとしている。
「・・・まだ障気が溢れ出てから時間が十分にたっていないからだろう。時間がたてばルークが来た時のように、それこそ前すら見ることが難しくなるほどの濃さになるはずだ」
「あぁ、そっか・・・」
前よりここに早く来たから障気は薄いのだとルークが納得すると、こちらに見覚えのある人物が近付いてきた。
「あの・・・もしかしてキムラスカの方々ですか?私はパイロープという者です」
「あ・・・はい・・・」
なんとか動揺を抑えようと、平静に保とうとしながら話そうとするルーク。
「あの・・・どうかされましたか?」
だが動揺を隠しきれていないルークに、パイロープはこちらを気遣ってくる。
「あ・・・いや・・・気にしないで下さい。それより俺達は確かにキムラスカから来ました」
「おお、やはり!!という事はあなたがたは救援隊ですか!?」
気遣ってくれていた表情をかなぐり捨て、助けなのかと確認を喜びながら取るパイロープ。
「あ、いえ。俺達は正式な救援隊じゃないんです。このアクゼリュスの事情を聞いたカイツールのアルマンダイン伯爵が俺達に兵を貸してくれたんです」
「そ、そうですか・・・」
正式ではないと聞いて、少し微妙な表情になるパイロープ。その表情をみて、ルークはジューダスからこう言えと託された、安心させる為の嘘をつく。
「もう少しでキムラスカとマルクトで和平が結ばれるんです。その和平の中にはアクゼリュス救援が条件に入ってるんです。そうなったら正式な救援隊がキムラスカから派遣されます。だから安心して下さい」
「ほ、本当ですか!?」
ルークの嘘に暗くしていた表情を、満面の笑みに変えるパイロープ。
「はい、本当です」
「あぁ、良かった・・・」
ここで本当の事を言えば混乱させるだけ、ならば対策をとるまでは優しい嘘をついてやればいい。そう言ってくれたのはジューダス。自分達が惨劇を変えるとはいえ、天を仰いで相当に喜んでいるパイロープの姿を見てルークは正直、嘘で喜ばせていいのかと内心は複雑であった。
「あの・・・いいですか?正式な救援隊が来るまではカイツールの兵達で出来るだけ救護作業をします。なので、障気で重病の人達の救護作業をしたいんです。いいですか?」
「はい!!よろしくお願いします!!」
パイロープの確認を取ると、ルークは少し表情を引き締めながら兵士達と向かい合った。
「皆、聞いた通りです。これから俺達はこの街の人達の救援作業を開始します。重症の人から先に街の外へ連れて行って下さい。この人数で連れていく事の出来る人数になったら、デオ峠で待っている待機部隊のところに行きます。デオ峠に戻ったら待機部隊と交代で重症の人達をそこで看病して下さい・・・行動を開始して下さい、お願いします!!」
「「「「はっ!」」」」
ルークの嘆願に近い命を受け、兵士達は敬礼を返した後アクゼリュスの中へ各々走っていった。
「よし、僕達も行くぞ」
「うん」
ジューダスの後押しを受け、ルークも走って行き、ジューダスもその後を追い掛けていった。





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