救う者と救われるもの 第六話
「着いた・・・」
程なくしてカイツールにたどり着いた二人。ここに敵対したが、今尚尊敬している師がいる・・・ルークは緊張していた。
「・・・あれは・・・」
するとジューダスが何かを見ながらそっと呟く。ジューダスの目線の先をルークが追うと、宿の前に・・・
「師匠・・・」
「ルーク!無事だったのか!」
かつての師が立っていた。その姿を見て呆然と呟いたルークに気付いたヴァンはこちらに近付いて来た。
「心配したぞ、ルーク。マルクト領に落ちていったのでどうかと思ったが無事でよかった」
「師匠・・・」
アクゼリュスまで見せていた変わらない笑顔、自分を信頼させる為の嘘の笑顔とはいえ優しいこの師の姿。ルークは嬉しい気持ちの反面、悲しい気持ちも混ざってしまい、不安な表情になってしまった。
「どうした、ルーク?」
そのルークの顔を見て、ヴァンは気を使ってくる。
「・・・失礼ヴァン謡将。よろしいでしょうか?」
動揺を隠しきれていないルークの状況を見たジューダスは、ルークの代わりに話すべく前に出た。
「・・・君は?」
「失礼致しました。私はルーク様の護衛をさせていただいてます、傭兵のジューダスです。エンゲーブでルーク様に雇われました」
そう言い型にはまっているかのような綺麗な礼をとるジューダス。頭を上げ、ジューダスは話を続ける。
「ルーク様は途中ではぐれてしまったティアを心配しておられます。エンゲーブまでは一緒に行動していたのですが、離れてしまった事をここに来るまで後悔しておられました」
ティアという単語にピクッと反応する。それを確認したジューダスはもう一押しだと話を続ける。
「彼女もカイツールを目的としているのですが、ルーク様は待ちたいという気持ちと、自分の立場から早く帰らなければいけないという理解の最中迷っておられます。聞けばヴァン謡将の関係者だということでルーク様は更に心を痛めておられます。ヴァン謡将の顔を見られてティアの事をどう仰られればよろしいかと思っていたのでしょう」
「・・・そうなのか、ルーク?」
「・・・はいそうです」
ヴァンに聞かれ、不安な顔をしながらも先程の打ち合わせを思い出したルークは肯定を返す。
「・・・ならば私はここに残ろう」
うまくいった、内心そう思いながらジューダスは念を押す。
「よろしいのですか?」
「ティアは私の妹だ。それに陸側からルークを探しに来た公爵の使用人のガイも待たねばならんのでな。構わんよ・・・心配いらん、ルーク。ティアは私が保護しよう」
ポンと肩に手を乗せ、大丈夫だと言うヴァン。しかしそれが二人の思惑だとはヴァンは気付かない。
「では旅券を渡そう、これで国境を越えれる」
旅券を手元から取りだし、ルーク達に手渡す。
「・・・じゃあ師匠。よろしくお願いします」
また会えた師に戸惑いを最後まで隠すことが出来ないまま、ルークは礼をとり国境の方へと向かっていった。ジューダスも礼をとった後、ルークの後を追い掛けて行った。
「ジューダス・・・ありがとう、俺の事をフォローしてくれて・・・」
無事に国境を越えた後、ルークは港に向かっている最中ジューダスに先程の礼をうつ向きながら告げる。
「気にするな。信頼していたのだろう、ヴァンを。あの態度は当然だ」
ジューダスは何でもないと返す。
「・・・ありがとう」
そっけないようでいて、自分を気遣ってくれる。自らの失態を当然だと言ってくれる。優しい人だとルークは感じていた。
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程なくしてカイツールにたどり着いた二人。ここに敵対したが、今尚尊敬している師がいる・・・ルークは緊張していた。
「・・・あれは・・・」
するとジューダスが何かを見ながらそっと呟く。ジューダスの目線の先をルークが追うと、宿の前に・・・
「師匠・・・」
「ルーク!無事だったのか!」
かつての師が立っていた。その姿を見て呆然と呟いたルークに気付いたヴァンはこちらに近付いて来た。
「心配したぞ、ルーク。マルクト領に落ちていったのでどうかと思ったが無事でよかった」
「師匠・・・」
アクゼリュスまで見せていた変わらない笑顔、自分を信頼させる為の嘘の笑顔とはいえ優しいこの師の姿。ルークは嬉しい気持ちの反面、悲しい気持ちも混ざってしまい、不安な表情になってしまった。
「どうした、ルーク?」
そのルークの顔を見て、ヴァンは気を使ってくる。
「・・・失礼ヴァン謡将。よろしいでしょうか?」
動揺を隠しきれていないルークの状況を見たジューダスは、ルークの代わりに話すべく前に出た。
「・・・君は?」
「失礼致しました。私はルーク様の護衛をさせていただいてます、傭兵のジューダスです。エンゲーブでルーク様に雇われました」
そう言い型にはまっているかのような綺麗な礼をとるジューダス。頭を上げ、ジューダスは話を続ける。
「ルーク様は途中ではぐれてしまったティアを心配しておられます。エンゲーブまでは一緒に行動していたのですが、離れてしまった事をここに来るまで後悔しておられました」
ティアという単語にピクッと反応する。それを確認したジューダスはもう一押しだと話を続ける。
「彼女もカイツールを目的としているのですが、ルーク様は待ちたいという気持ちと、自分の立場から早く帰らなければいけないという理解の最中迷っておられます。聞けばヴァン謡将の関係者だということでルーク様は更に心を痛めておられます。ヴァン謡将の顔を見られてティアの事をどう仰られればよろしいかと思っていたのでしょう」
「・・・そうなのか、ルーク?」
「・・・はいそうです」
ヴァンに聞かれ、不安な顔をしながらも先程の打ち合わせを思い出したルークは肯定を返す。
「・・・ならば私はここに残ろう」
うまくいった、内心そう思いながらジューダスは念を押す。
「よろしいのですか?」
「ティアは私の妹だ。それに陸側からルークを探しに来た公爵の使用人のガイも待たねばならんのでな。構わんよ・・・心配いらん、ルーク。ティアは私が保護しよう」
ポンと肩に手を乗せ、大丈夫だと言うヴァン。しかしそれが二人の思惑だとはヴァンは気付かない。
「では旅券を渡そう、これで国境を越えれる」
旅券を手元から取りだし、ルーク達に手渡す。
「・・・じゃあ師匠。よろしくお願いします」
また会えた師に戸惑いを最後まで隠すことが出来ないまま、ルークは礼をとり国境の方へと向かっていった。ジューダスも礼をとった後、ルークの後を追い掛けて行った。
「ジューダス・・・ありがとう、俺の事をフォローしてくれて・・・」
無事に国境を越えた後、ルークは港に向かっている最中ジューダスに先程の礼をうつ向きながら告げる。
「気にするな。信頼していたのだろう、ヴァンを。あの態度は当然だ」
ジューダスは何でもないと返す。
「・・・ありがとう」
そっけないようでいて、自分を気遣ってくれる。自らの失態を当然だと言ってくれる。優しい人だとルークは感じていた。
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