救う者と救われるもの 第六話

二人だけの旅路、ルークは正直きついものになると思っていた。しかしエンゲーブからセントビナーを飛び越して一気にこのフーブラス川に来れた事で、ジューダスという人物の剣の腕前を疑えなくなってしまった。仲間の協力があったとはいえ、ルークはヴァンを倒す事が出来た。その事に無自覚ながらも、ルークは剣の腕に自信をつけていた。

しかしジューダスの剣術は自分とは違う、無駄のない洗練された高い技術に裏付けされたもの。魔物と戦っているときの動きはまさに華麗と言う言葉が似合うと、ルークは感動混じりに思っていた。



「なぁ、ジューダス。俺にジューダスの剣術を教えてくれないか?」
フーブラス川の中間地点辺りを歩いていると、ルークが歩きながらジューダスに質問をする。
「・・・どうした、いきなり?」
「何かジューダスの剣を見てたら俺の剣って無駄が多いって感じたからちょっとな・・・」
ちょっと照れくさそうに鼻の頭をかいてうつ向く。
「今から二刀流を覚える気か?それは無理だ」
はっきりと断るジューダス。その理由をジューダスはルークに説明する。
「ルークの剣術は盾を持たずに戦う事を念頭に置いている。しかし僕の小刀は攻撃の役割と同時に、盾の役割を担っている。今から僕の剣を習うというなら今の剣術の型を捨てなければならん。どうあがいても間に合わんだろう」
「そっか、そうだよな・・・」
その言葉に納得するルーク。尊敬する師を止めるまでの時間が短いのだ。今から剣術を習っては文字通り付け焼き刃だろう。
「しかし、剣術の訓練なら付き合ってやらんでもない。暇があれば見てやろう」
「・・・え?」
「嫌か?」
「・・・ううん!!そんなことない!!凄く嬉しいよ!!」
ブンブンと首を勢い良く振り、満面の笑みでジューダスに返事を返す。
「それでは先に進むぞ。ゆっくり休める地点まで行けば稽古はつけれる」
「うん!!」




そんなやりとりを終えた二人はフーブラス川を抜け、カイツールへと後は一直線で向かう道の最中、足を止めて話し合っていた。
「いいか?今の時点でヴァンは確実にカイツールに到着している。僕達はヴァンから旅券をもらわねば先には進めん。かといってここでヴァンと一緒に港へ行く事になれば行動に制限が出来てしまう・・・ここで重要なのはヴァンと離れる事だ。分かるなルーク」
「・・・うん!!」
「今から話すのはキーワードだ。まずは・・・」



「          」



「成程・・・」
ジューダスの説明にうんうんと頷くルーク。
「ここまで言えばヴァンは僕達と離れざるを得なくなる。ヤツの感情も計算に入れたのだからな」
「じゃあ早く行こうジューダス!!」
「あぁ、行くか」
話し合いの為に止めてた足を再び動かし、二人はカイツールへと向かっていった。





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