救う者と救われるもの 第五話
J SIDE
無事神託の盾騎士団の襲撃もなく、夜を明かしたジェイド一行。
「さぁみなさん。セントビナーに向かいましょう」
夜も明けたということで、早く先に進もうとジェイドが兵士達に呼び掛ける。
「・・・お待ち下さい、師団長。あちらから誰か近付いてきます」
すると別方向を見張っていた兵士の内の一人から、何者かの姿があると言ってきた。その報告に緊張が兵士達を襲う。しかしジェイドは近付いてくる者の姿を見た瞬間、警戒の様子を消してその人に気軽に声をかけながら近付いていった。
「やぁガイ、お久しぶりですね」
「・・・旦那!!」
その人の正体はガイ、ジェイドもこの辺りに好き好んで来るような人物はいないだろうから多分ガイだろうと予測していた。
「一体どうしたんだ、旦那?以前タルタロスがあった場所に行ったら何もなかったぞ。それにティア達や・・・ルークは・・・?」
ガイの様子から察するに、以前の通りに進めば以前のようにジェイド達に合流出来ると踏んでいたようだ。更にティア達の姿と、ルークの姿がないことで彼の表情はこれまでに無いほど疑問に満ちている。
「訳なら歩きながら話します。行きましょう」
しかしこの場で時間を取る訳にはいかないと思ったジェイドは先に行くことを促した。
「あ、あぁ・・・」
それに戸惑いながらも同調するガイ。事情を知らない事もあり、彼の顔は相当怪訝な表情になっていた。
「・・・という訳です。うまく行けばルーク達とはセントビナーで会えると思いますよ」
「思いますって・・・何でそんな不吉な言い方をするんだよ、旦那」
「・・・ジューダスという人物が気になっているんですよ。その人物が何をしようとしているのか、それがわからないから確定と言えないんです」
「・・・俺も聞いた事はないな。ジューダスって名前」
「・・・まぁ、書き置きを残していたので今頃はティア達と一緒にこちらに向かって来てる筈です」
「そうだよな・・・うん」
「では話も終わったようなので早く行きましょう」
そう言うとジェイドは歩調を速め、ガイから顔が見えない位置にまでくると難しい顔で小声で呟いた。
「 」
それはあまりにも小さい声で、誰にも聞き取る事は出来なかった。
それから程無くして、セントビナーへとたどり着いたジェイド達。しかしセントビナーはまた以前のように、神託の盾騎士団による検問が行われていた。
「旦那、以前のように行くか?」
「というよりそれしかないですからねぇ・・・少し街道を戻りましょう、いいですね」
小声での会話なので、了承の返事を首を縦に振る事で兵士達はジェイドに答えた。
街道を戻ったジェイド達は馬車を待っていた。すると一台目の馬車がセントビナーへと走ってきた。
「ちょっと待って下さい、その馬車」
いきなりの馬車への制止をジェイドが行う。
「うわっ!!・・・カーティス大佐!?」
「いきなりですみません、ちょっと協力をお願いしたいのです」
ジェイドがそう言った後、事情を聞いたエンゲーブの人は快く協力してくれた。一台目の馬車にはティア達は乗っていなかったので、ジェイドは兵士達をその馬車に乗せて二台目の馬車をガイと二人で待っていた。
「ルーク・・・」
今か今かと馬車を待っているガイ。彼も相当にルークに会いたそうだ。
「・・・あぁ、馬車が来ましたよ」
その様子を見て眼鏡を手で押し上げながら表情を見られないように努めつつ、馬車の到来を告げる。
「・・・あ!すみません!!ちょっと止まって下さい!!」
ジェイドの言葉を受けたガイが急いで馬車を止める。
「あらまぁ、カーティス大佐じゃないですか」
「「大佐!?」」
ローズ夫人の言葉を聞いて顔を出しながら声を出したのは二人の女性。
「アニス、ティア!!」
「「ガイ!!」」
声の元は一緒に旅をした二人だった。
「ルークは中にいるのか!?」
ガイの嬉しそうに聞く声とは逆に、顔を暗くする二人。するとジェイドが二人の代わりに答えを代弁した。
「やはりルークとは会えませんでしたか」
.
無事神託の盾騎士団の襲撃もなく、夜を明かしたジェイド一行。
「さぁみなさん。セントビナーに向かいましょう」
夜も明けたということで、早く先に進もうとジェイドが兵士達に呼び掛ける。
「・・・お待ち下さい、師団長。あちらから誰か近付いてきます」
すると別方向を見張っていた兵士の内の一人から、何者かの姿があると言ってきた。その報告に緊張が兵士達を襲う。しかしジェイドは近付いてくる者の姿を見た瞬間、警戒の様子を消してその人に気軽に声をかけながら近付いていった。
「やぁガイ、お久しぶりですね」
「・・・旦那!!」
その人の正体はガイ、ジェイドもこの辺りに好き好んで来るような人物はいないだろうから多分ガイだろうと予測していた。
「一体どうしたんだ、旦那?以前タルタロスがあった場所に行ったら何もなかったぞ。それにティア達や・・・ルークは・・・?」
ガイの様子から察するに、以前の通りに進めば以前のようにジェイド達に合流出来ると踏んでいたようだ。更にティア達の姿と、ルークの姿がないことで彼の表情はこれまでに無いほど疑問に満ちている。
「訳なら歩きながら話します。行きましょう」
しかしこの場で時間を取る訳にはいかないと思ったジェイドは先に行くことを促した。
「あ、あぁ・・・」
それに戸惑いながらも同調するガイ。事情を知らない事もあり、彼の顔は相当怪訝な表情になっていた。
「・・・という訳です。うまく行けばルーク達とはセントビナーで会えると思いますよ」
「思いますって・・・何でそんな不吉な言い方をするんだよ、旦那」
「・・・ジューダスという人物が気になっているんですよ。その人物が何をしようとしているのか、それがわからないから確定と言えないんです」
「・・・俺も聞いた事はないな。ジューダスって名前」
「・・・まぁ、書き置きを残していたので今頃はティア達と一緒にこちらに向かって来てる筈です」
「そうだよな・・・うん」
「では話も終わったようなので早く行きましょう」
そう言うとジェイドは歩調を速め、ガイから顔が見えない位置にまでくると難しい顔で小声で呟いた。
「 」
それはあまりにも小さい声で、誰にも聞き取る事は出来なかった。
それから程無くして、セントビナーへとたどり着いたジェイド達。しかしセントビナーはまた以前のように、神託の盾騎士団による検問が行われていた。
「旦那、以前のように行くか?」
「というよりそれしかないですからねぇ・・・少し街道を戻りましょう、いいですね」
小声での会話なので、了承の返事を首を縦に振る事で兵士達はジェイドに答えた。
街道を戻ったジェイド達は馬車を待っていた。すると一台目の馬車がセントビナーへと走ってきた。
「ちょっと待って下さい、その馬車」
いきなりの馬車への制止をジェイドが行う。
「うわっ!!・・・カーティス大佐!?」
「いきなりですみません、ちょっと協力をお願いしたいのです」
ジェイドがそう言った後、事情を聞いたエンゲーブの人は快く協力してくれた。一台目の馬車にはティア達は乗っていなかったので、ジェイドは兵士達をその馬車に乗せて二台目の馬車をガイと二人で待っていた。
「ルーク・・・」
今か今かと馬車を待っているガイ。彼も相当にルークに会いたそうだ。
「・・・あぁ、馬車が来ましたよ」
その様子を見て眼鏡を手で押し上げながら表情を見られないように努めつつ、馬車の到来を告げる。
「・・・あ!すみません!!ちょっと止まって下さい!!」
ジェイドの言葉を受けたガイが急いで馬車を止める。
「あらまぁ、カーティス大佐じゃないですか」
「「大佐!?」」
ローズ夫人の言葉を聞いて顔を出しながら声を出したのは二人の女性。
「アニス、ティア!!」
「「ガイ!!」」
声の元は一緒に旅をした二人だった。
「ルークは中にいるのか!?」
ガイの嬉しそうに聞く声とは逆に、顔を暗くする二人。するとジェイドが二人の代わりに答えを代弁した。
「やはりルークとは会えませんでしたか」
.