救う者と救われるもの 第五話
「師団長、全員タルタロスから出てきました!!」
「ご苦労」
ジェイドの副官のマルコが確認を終え、ジェイドに報告に来た。それを受けたジェイドはタルタロスから出てきた兵士へと向かい合い、真面目な面持ちで話を切り出した。
「皆さんを全員呼び出したのは他でもありません。現在このタルタロスは神託の盾騎士団の襲撃対象となっているという情報を私は耳にしました」
目の前の上官からのいきなりの話に兵士達はざわつく。
「落ち着いて下さい、皆さん。私が得た情報はここから南下したルグニカ平野で神託の盾は待ち構えているそうです。その規模は私達の数倍で、更に未確認ながらその兵士達を指揮しているのは六神将との事です。故にこのまま行けば神託の盾騎士団との衝突は避けられません。ですのでここで皆さんにはグランコクマに戻っていただきたいと思います」
そのジェイドの言葉に更に兵士達はざわついてしまう。すると兵士の一人から疑問の声が上がってきた。
「師団長、師団長はこれからどうなさるのですか?」
「私はタルタロスに乗って囮になります。襲撃ポイントはある程度予測出来ています。ギリギリまで私はタルタロスを手動で動かしますのでギリギリになったら私はタルタロスから降ります。導師イオンは別ルートからアニスと行動させますので心配はいりません」
その言葉に兵士達が「おぉ~」と感嘆の声を上げた。抜かりない見通しに兵士達は流石だと感じているようだ。
「では、マルコ。貴方がこの手紙をグランコクマまで持って行って下さい。私が和平に行く以上、副官の貴方に陛下への説明と兵の統率をお願いします」
「はっ!!」
ティアとの会話の後に書いた手紙を懐から取り出し、マルコに手渡す。
「それではブリッジにいたものだけを残して後はマルコに従い、テオルの森に向かって下さい。いいですね?」
「「「「了解しました!!」」」」
全兵士がジェイドに敬礼をとり、ただちに兵士達はテオルの森へと向かって行った。
「・・・これで犠牲は出なくなりましたね」
その様子を見て眼鏡を手で押し上げながら呟くジェイド。
「そうですね、大佐・・・」
すると横からジェイドの言葉を聞いたティアが同意の言葉を感慨深げに口にしていた。
「でも大佐ぁ。ルークとの合流はどうするんですかぁ?」
その会話にいきなり入って来たアニス。しかしその言葉を受け、「確かに・・・」とティアは思っていた。
「その役目はアニスとティアの役目ですよ」
「「え?」」
「別ルートから行ってもらうと言ったでしょう?アニス達にはエンゲーブからセントビナーへ向かっていただきます」
「た、大佐?」
「確かあの時エンゲーブからローズ夫人が食糧を運ぶ為にセントビナーに来ましたよね?ルークとの合流のついでにローズ夫人の馬車に乗せてもらってきて下さい。その方がイオン様の負担も減って楽な筈です。あなた達がセントビナーにつく頃には私もセントビナーへとたどり着く頃でしょうから」
「でも大佐、一人で大丈夫なんですかぁ?」
「今の私は封印術も喰らっていませんし、以前と違い神託の盾が来ることは知っています・・・それとも老体の私をいたわってくれているんですか?」
その白々しい言葉に「この人何時までこの調子で続けるんだろう・・・」とアニスが心中で思っていた。
「私の心配はいりません。ですので二人はエンゲーブに戻って下さい」
「・・・分かりました、大佐」
渋々ながらも頷き、イオンの元へと二人は戻っていった。
「・・・二人がルーク、いやルーク‘達’と合流出来ればいいんですがねぇ」
漠然としない気持ちで二人の背を見て呟くジェイド。‘達’と追加でつけたのは、ジューダスなる人物が自分の想像通りの人物ならもしもの事も有り得ると感じていたからだ。だからジェイドはティア達にルークとの合流を義務付けたのだ。
(杞憂であればいいんですが・・・)
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「ご苦労」
ジェイドの副官のマルコが確認を終え、ジェイドに報告に来た。それを受けたジェイドはタルタロスから出てきた兵士へと向かい合い、真面目な面持ちで話を切り出した。
「皆さんを全員呼び出したのは他でもありません。現在このタルタロスは神託の盾騎士団の襲撃対象となっているという情報を私は耳にしました」
目の前の上官からのいきなりの話に兵士達はざわつく。
「落ち着いて下さい、皆さん。私が得た情報はここから南下したルグニカ平野で神託の盾は待ち構えているそうです。その規模は私達の数倍で、更に未確認ながらその兵士達を指揮しているのは六神将との事です。故にこのまま行けば神託の盾騎士団との衝突は避けられません。ですのでここで皆さんにはグランコクマに戻っていただきたいと思います」
そのジェイドの言葉に更に兵士達はざわついてしまう。すると兵士の一人から疑問の声が上がってきた。
「師団長、師団長はこれからどうなさるのですか?」
「私はタルタロスに乗って囮になります。襲撃ポイントはある程度予測出来ています。ギリギリまで私はタルタロスを手動で動かしますのでギリギリになったら私はタルタロスから降ります。導師イオンは別ルートからアニスと行動させますので心配はいりません」
その言葉に兵士達が「おぉ~」と感嘆の声を上げた。抜かりない見通しに兵士達は流石だと感じているようだ。
「では、マルコ。貴方がこの手紙をグランコクマまで持って行って下さい。私が和平に行く以上、副官の貴方に陛下への説明と兵の統率をお願いします」
「はっ!!」
ティアとの会話の後に書いた手紙を懐から取り出し、マルコに手渡す。
「それではブリッジにいたものだけを残して後はマルコに従い、テオルの森に向かって下さい。いいですね?」
「「「「了解しました!!」」」」
全兵士がジェイドに敬礼をとり、ただちに兵士達はテオルの森へと向かって行った。
「・・・これで犠牲は出なくなりましたね」
その様子を見て眼鏡を手で押し上げながら呟くジェイド。
「そうですね、大佐・・・」
すると横からジェイドの言葉を聞いたティアが同意の言葉を感慨深げに口にしていた。
「でも大佐ぁ。ルークとの合流はどうするんですかぁ?」
その会話にいきなり入って来たアニス。しかしその言葉を受け、「確かに・・・」とティアは思っていた。
「その役目はアニスとティアの役目ですよ」
「「え?」」
「別ルートから行ってもらうと言ったでしょう?アニス達にはエンゲーブからセントビナーへ向かっていただきます」
「た、大佐?」
「確かあの時エンゲーブからローズ夫人が食糧を運ぶ為にセントビナーに来ましたよね?ルークとの合流のついでにローズ夫人の馬車に乗せてもらってきて下さい。その方がイオン様の負担も減って楽な筈です。あなた達がセントビナーにつく頃には私もセントビナーへとたどり着く頃でしょうから」
「でも大佐、一人で大丈夫なんですかぁ?」
「今の私は封印術も喰らっていませんし、以前と違い神託の盾が来ることは知っています・・・それとも老体の私をいたわってくれているんですか?」
その白々しい言葉に「この人何時までこの調子で続けるんだろう・・・」とアニスが心中で思っていた。
「私の心配はいりません。ですので二人はエンゲーブに戻って下さい」
「・・・分かりました、大佐」
渋々ながらも頷き、イオンの元へと二人は戻っていった。
「・・・二人がルーク、いやルーク‘達’と合流出来ればいいんですがねぇ」
漠然としない気持ちで二人の背を見て呟くジェイド。‘達’と追加でつけたのは、ジューダスなる人物が自分の想像通りの人物ならもしもの事も有り得ると感じていたからだ。だからジェイドはティア達にルークとの合流を義務付けたのだ。
(杞憂であればいいんですが・・・)
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