救う者と救われるもの 第五話

「タルタロスにって、どうしてですかジェイド?」
いきなりの帰還通告に眉を寄せ、ジェイドに理由を聞くイオン。
「・・・この手紙に書かれていた内容に問題があるんです。アニス、読みあげて下さい」
「私がですか、大佐?」
「はい、これは私が読むべきではないかと」
「えぇ~」
少し不満気ながらも、ジェイドに近付き手紙を受け取るアニス。何々という雰囲気でアニスが手紙の中身を目で追っていくと、アニスも表情が自然に真面目になっていった。
「・・・じゃあ、読みあげますよ。『ジェイド・カーティス大佐へ  私達は恐ろしい情報を耳にしました。ダアトで名高い神託の盾六神将が導師イオン奪還の為にタルタロスを襲うという話を・・・実際に神託の盾兵が襲撃の打ち合わせをしている場面というものを目撃しました。なので、この情報は私達だけしか知りません。信じるか信じないかはカーティス大佐次第なんですが、是非とも信じて下さい。お願いします。神託の盾はチーグルの森から南下したルグニカ平野で待ち受けているとの事です。規模は今タルタロスに乗っているマルクト兵の何倍かというところです・・・最後にお願いします。この情報は本当なんです、信じて下さい、お願いします』・・・これで終わりです」
中身を全て読み終わり、手紙をジェイドに返すアニス。アニスの読みあげていた言葉を聞いていたイオンは目を見開き、信じられないと言った様相でいる。
「・・・イオン様、この情報は嘘ではありません。私もこの情報を別の形で掴んでいたのですが、はっきり本当かどうかは確定していませんでした。しかしこの情報が別のところから出てきたとなると信じざるをえません」
「「大佐!?」」
するとジェイドがイオンに真実を嘘で飾った言葉で本当だと告げる。ティア達はいきなりのジェイドの発言に何を言うんだと驚いてしまったが。
「それは・・・本当なんですね」
「はい、ですから対策をとるためにタルタロスに戻りたいんです」
しかしジェイドは驚いているティア達に何も言わず、その事実に未だ立ち直りきれていないイオンに戻る理由を告げる。
「分かりました、戻りましょう」
理由を聞いて納得したイオンは素直に頷いた。



「待って下さい!!ミュウも行くですの!!」
するとミュウが自分もついていくと主張してきた。
「ミュウ?いいんですか、住みかに戻らなくて?」
「まだ僕はあの人達に恩を返してないですの!!だからあって恩を返すですの!!」
小さな右手をピシッとあげ、意気揚々と宣言をするミュウ。
「・・・そうですね、連れていきましょう。いいですか?ジェイド」
「私は構いませんよ」
「私も大丈夫です」
「アニスちゃんも大丈夫です~」
ミュウは変わらない、だからルークの元へとまた行こうとしている。その気持ちをジェイド達は大事にしたいと思い、同行を許可した。





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