かつての全ては過去のもの

・・・そして数日が経った。港から船に乗りスノーフリアを経由し、カイル達はハイデルベルグのウッドロウに会いに行った。

カイル達はそこでジューダスも含めた話をして、ウッドロウとの交流を改めて深めた。その時ジューダスの事を聞いて、ウッドロウは深く頷きしっかりと受け止めてくれていた。

そしてその流れでウッドロウにイクシフォスラーを借りるように願い出、その使用許可を得るとカイル達は世界を飛び回った。

その時まずカイル達はナナリーとルーの姉弟のいるホープタウンを訪れ、ルーの病気を治す事を決心して行動を起こした。その際カイル達は再び病気を治すヒントを得る為フィリアを訪れた。









「ベルセリアの花・・・あの廃坑にある鉱石が・・・!」
一通り話を終えジューダスからの話で、以前行ったオベロン社廃坑にあった鉱石がそれにあたるかもしれない。そう聞きカイルは嬉しそうに目を輝かせる。
「行こうよ早く、皆!」
「そうだな、早く行こうぜ!」
「ええ、行きましょう」
「ああ、行くぞ・・・済まなかったな、フィリア」
「いえいえ、早くナナリーさん達の為に出発してあげてください」
そしてカイルが出発を口にし、三人とも同意を口にしてジューダスが一つ礼を入れる。フィリアは気にする必要はないというと、「じゃあフィリアさん、ありがとうございました!」とカイルが礼を元気よく言い三人もその後に続く形でその場を後にしていく。
「・・・ジューダスさんの話では廃坑はノイシュタット近くにあるとのこと・・・不安ですね・・・」
その後ろ姿を見送るとフィリアは不安と口にした時表情に影を見せる。
フィッツガルド地方には霧が常に立ち込める白雲の尾根があるが、カイル達は廃坑の場所を知っている。なのに何故フィリアの表情は暗いのか?・・・それは彼女のみが知る・・・









・・・だがフィリアがそんな不安になっていることを知らないカイル達は一路、オベロン社廃坑へと向かった。そして廃坑でルーの病気を治すベルセリアの花を咲かせる鉱石を取って再びフィリアの元にカイル達が行くと、フィリアはどことなく安心していた。

ジューダスはその様子に何かと気になっていたが、ベルセリアの花を咲かせる方が今は大事だとそちらに気をやった。

そして数日経ってフィリアからベルセリアの花が咲いたと聞いて受け取ると、再びカイル達はナナリーの元へと向かった。そこからベルセリアの花を薬としてルーに与え、数日間ナナリーと一緒に看病をした。その結果、ルーは晴れて病気を治す事が出来た。









「ふぅ・・・これでルーも普通に生きられるんだね・・・けど最後にロニとあんな風に会話したから、ナナリーの記憶がちょっと戻ってるんじゃないかって思ったけど」
「多分、戻り出してる兆候だと思うわ。それにはロニも関係してると思うけど・・・」
ナナリー達と別れてホープタウンの入口辺り、カイルと会話していたリアラはそこでロニを見る。
・・・最後、別れ際にロニとナナリーが交わした会話。あの時の旅の記憶が揺り起こされたのか、ナナリーのロニを見る目がどこか旅をしている時のような懐かしい雰囲気があった。それはカイル達三人も感じていた。その懐かしい視線が向けられていたのは・・・
「・・・今はルーが無事だった、それでいいだろ!例え記憶が戻って来てるんじゃないかって言ってもな!」
そんな視線に居心地が悪くなったのか、ロニはごまかすように笑顔を作り明るく振る舞う。
・・・ロニとナナリーの当人達は気恥ずかしさからか認めようとはしないだろうが、二人は互いに近い位置にいた。記憶を呼び起こす存在としてはこれ以上にない存在だろう、ナナリーにとってロニは。
だがロニはある意味ではカイルよりも子供な面がある。そういった視線に少し耐えづらかったのだろう。








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