かつての全ては過去のもの

これはジューダスがカイル達と共に、ナナリーを含めたかつてのスタン達の仲間に会いに行く時に起こった出来事である・・・









・・・アイグレッテ、ここはストレイライズ神殿を中心に作られた街である。かつての神の眼を巡る騒乱でいくつもの街にダリルシェイドという城が崩壊したことで、人々はストレイライズ神殿に助けを求めに集まった。そこから集まった人達の集落が急速に発展を遂げ、今では世界でも有数の都市となっている。

そして、ここにはかつての神の眼を巡る騒乱にて英雄と呼ばれる程の功績を上げた人物がいた。その人物の名を、フィリア・フィリスといった。



「・・・そうですか、それでリオンさんが・・・」
「今の僕はリオンではない、ジューダスだ」
「あっ、すみません・・・」
ベッドに腰をかけカイル達と対面していたフィリア。一通り話を聞き終え顔をうつむかせかけるが、名を呼び間違えないでくれと言われ口を手で押さえながら謝罪する。
「けど・・・偶然が重なったとは言え、ジューダスさんが生き返ってくれてよかったと思います。これも神の思し召しでしょうか・・・」
「フン、神を殺した僕達にそのような事を言うのか?」
「・・・ジューダスさんらしい皮肉に聞こえますが、実際にそれをやっていますからどうとも言いようがありませんね・・・」
「アハハ・・・」
そこから純粋に神のおかげかと言ったフィリアに、ジューダスは事実のみを口にしてフィリアをなんとも言えない表情にする。そのやり取りにカイル達も苦笑いしか出来ない。
「・・・考えると難しいので、そのことは置いておきましょう。それで・・・これからカイルさん達はどうするんですか?」
「俺達はこれからナナリーやウッドロウさん達に会いに行こうと思っています。元々大切な物を見つけに行くつもりでしばらく旅をする予定だったんですけど、大切な物は見つかりましたしジューダスも戻ったんだし折角だからって事で色々な人に会いに行く事にしたんです」
「カイルったら・・・」
ジューダスから言われた事はさておいて、カイルにフィリアは質問する。その答えにナチュラルに大切な物と言われたリアラは恥ずかしそうに熱のこもった視線をカイルに向ける・・・どうやらカイルとリアラは以前よりラブラブ度が高くなったらしい、告白を済ませた分。ロニはそんな様子にハンカチがあったら噛み締めてそうな表情をしているが。
「そうですか・・・ではもう行かれるのですか?」
「いえ、今日はもう日も暮れそうになってきているからアイグレッテに泊まってからスノーフリア行きの船に乗ろうと思ってます」
フィリアはそんな様子を気にせず話を続けるが、ロニは瞬時に紳士のようキリッとした表情を作り街に泊まる事を告げる。事実昼過ぎ程に神殿に入ってから大分話をして時間が経っている、今から港に行っても明日にしか出港しないと言われるだろうから宿に泊まるのは妥当な所だ。
「・・・そうですか」
「どうしたんですか、フィリアさん?」
「あ、いえ。アイグレッテの宿はすぐに埋まりやすいと言いますし、早く部屋を取らないといけないのでは?」
「あっそうか、そう言えばそうだな・・・」
その答えにどこか思う表情をしていたフィリアにロニが心配した声をかけるが、宿の空きの事を言われカイル達と一緒に顔を見合わせる。
エルレインがいた時と比べればアイグレッテに人はそこまでいないとは言え、それでも世界有数の大都市。宿が取れないなんて事はザラにある。
「・・・仕方ないな、俺が宿を取って来るからカイル達はフィリアさんと話をしていてくれ。それじゃあフィリアさん、失礼します!」
そんな事態を避けるべく、ロニはフィリアに丁寧に頭を下げるとすぐに神殿から退出していく。
「あっ、ロニ!俺も行くよ!」
「待って、カイル!・・・すみませんフィリアさん、私も行きます」
そんなロニの勢いにカイルも飛び出して行き、リアラもフィリアに頭を下げるとすぐさまカイルを追いかけていく。
「やれやれ・・・そういうわけだ、僕も行くぞ」
そして最後に残ったジューダスはゆっくりその場を立ち去ろうと・・・
「待ってください、貴方にお話したいことがあります」
した時、フィリアの声がジューダスの足を止めた。






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