救う者と救われるもの epilogue

「ん~・・・っ!気持ちいい~・・・!」
城から出て天空客車の前で下を見下ろし、清々しく風を感じながらルークは一人伸びをする。
「・・・こうやって生きてられる、そう思うとやっぱジューダスに感謝してもしきれないな」
伸びを終えると目の前に広がる光景を前に、ルークは何度感じても感じたりない感謝をジューダスに感じてしまう。と同時に、どうしようもない程に嬉しさを感じながらルークはゆっくり体を抱く。
「これが、平和なんだな・・・」
綻んだ笑みから出て来た言葉に、ルークは平和に生きる自分の存在を改めて認識して噛み締めていた。
・・・これまでルークの人生に、人並みの平穏という時間は少なかった。屋敷に縛り付けられていた時は平穏というよりは怠惰な時間といってもおかしくはなかった。屋敷を出てしまった時からは言葉で表すなら、激動の時と言える。そして三年前の旅を終え今またしばらくは世界の安定に力を注いできた。だが今は全てが一段落して、思い出す事も少なかったジューダスの事を想えるまでになった・・・
今この光景がルークにもたらしている物、それは紛れも無い自らも含めた上での平穏だった。









(・・・昔はマリアンと肩を並べられるようになれればいい、と思っていたくらいだったんだがな)
そして、デュナミス孤児院でカイル達と談笑しているジューダスも今の現状を考えてみて昔と違う自分に軽く笑みを浮かべる。
・・・ただ一人だけの為に、そう思っていた自らがあの時からは想像もつかないメンツと肩を並べている。昔と比べて格段に心を開いた状況で。
・・・自らの思惑通りの状況で事が始まった事などないと、ジューダスは自認している。そしてその状況にはいつも困難が付き物だったことも。だがその状況において自らを信じてきた、仲間がいた。そして今、全てを終えてルーク達との別れがあったがカイルやスタン達と肩を並べるに至った。
今この光景がジューダスにもたらしている物、それは対等な立場を過ごせる友との平穏な時間だった。












・・・両者共に、両者なりの平穏。その平穏という光景を手に入れた。

片や死ぬことを免れる事の出来なかった、星の未来を変えた英雄。片や英雄達を裏切った裏切り者と歴史に名を残して死に、神の手駒として蘇らされたが神と戦う事を選び人知れず二度目の生を終えた英雄。

・・・彼らの辛く、困難に満ちた生涯にようやく安息の光が訪れた。そしてその光は余程の事がない限り途切れる事はないだろう。

だがその平穏を得るに至るまでになった大きな、大きな存在を二人は二人共に忘れる事はない・・・



「「ありがとう、(ルーク)(ジューダス)」」



自分を救ってくれるまでに至った、その存在を永久に・・・












This story is the end









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