救う者と救われるもの epilogue

・・・孤児院のリビングに設置されたテーブルを囲み、各自椅子に座りながら談笑していくジューダス達。



「ルークかぁ・・・懐かしいなぁ」
「えぇ、懐かしいわ・・・もう三年も前になるのね・・・」
スタン、それにルーティもジューダス達から話を聞き一緒にしみじみと懐かしむように笑みを見せる。
「・・・三年、か。よくよく思い出せば今年でルークとアッシュは成人となる年だったな」
「そうだったの?」
「ああ、本当の年齢なら十歳という所だが肉体年齢はアッシュと同じだからな。タタル渓谷からジェイド達が過去に戻ると決めた時は、三年経って成人となったルークとアッシュの成人の儀を自分達で祝う為という経緯を思い出した。おそらく今年中には二人の成人の儀は行われるだろうな」
「ふーん・・・」
旅の最中を思い出しながらルークが今年成人という事を聞き、カイルが納得して声を上げる。



(三年、か・・・本当に早かったな)
話をする中ジューダスは一人、より深くそう感じていた。
(大爆発に関してはジェイド達に任せるしかなかったからわからんが、数年単位では起こらんとは言っていた。ルークは余程の事がなければ今も生きているだろうな・・・)
言葉には出さない、出せばいらぬ心配をスタン達にさせてしまうことになる。ジューダスはジェイド達を信じているが故に会話には出さないが、そうやって周りに気を使う程には十分ルークの存在は彼の中において重要なウェイトを占めていた。
(あいつは何をしているのだろうな・・・)
・・・死別ではない、生きている内のわかりあえた上での惜別の別れ。だからこそ気にならない訳がない。ジューダスもルークと同じように、相手のその後を想う・・・












「クシュンッ!」
他に誰もいない部屋で一人、椅子に座っていたルークはくしゃみをする。
「・・・なんだろ、成人の儀を終えて気が緩んだのかな?会場じゃ鼻もムズムズしなかったのに・・・」
鼻の下を人差し指でこすりながら、ルークは立ち上がる。
「・・・ちょっと外に出るかな・・・」
ルークは成人の儀という固い場で緊張しながら皆に会い、部屋に戻ってすぐ皆に会えた嬉しさから日記を早めに記入した。だが日が落ちた、というにはあまりにも早い時間帯に当たる今に寝るのもおかしい。
そう考えたルークは頷きながら、気分転換の為にと外へと足を向ける・・・










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