救う者と救われるもの epilogue

そして、カイルがマリーにコングマンの名前を出したのもその後起こした行動にある。



ジューダスはスタン達との話を終えた後再びカイル達とともに世界を巡る旅に出た。主な目的としてはウッドロウやフィリア、それに自分達の記憶にあるより幼い姿のナナリーなどと改めて顔を合わせに行くことであった。

その旅の最中でジューダスはカイル達とともにフィリア達だけでなくコングマンにマリーにチェルシーなどとも顔を合わせていき、自らの事を明かしながら話をしていった。

コングマンは唯一『リオン』の取った行動を許せていなかったようでジューダスを一回殴りつけたが、それでもフィリア達と同じようにジューダスが生きている事を喜んでくれるようになった。今では時折ジューダスの元に手紙が来るまでに至っている。



・・・そしてナナリーに関しても、昔と違う変化が起きた。それはナナリーの弟のルーの病気を治す事が出来たのである。

ナナリーにホープタウンで会った時、彼女ははっきりとした記憶を持ってはいなかった。そのことは仕方のないことだとリアラの説明でカイルとロニは納得したが、それでも実際に病気にて苦しむルーの姿を見たカイル達は放ってはおけないと病気を治す方法を探した。

そこでジューダス達は再びフィリアの元へ行き、ルーの病気がどうにかならないものかと話をした。そしてフィリアに聞いた話ではベルセリアの花を用いなければどうしようもない物だと言われた。

ベルセリアの花、聞き覚えのほとんどない上にあるかどうかもわからないもの・・・カイル達は諦めずにその花を探そうとした矢先、ジューダスはフィッツガルドにあるオベロン社廃坑にベルセリアの花を咲かせる鉱物があると言った。

その言葉にカイル達もあそこの鉱物がそうなのかと思い至り、すぐにウッドロウから使用許可をもらったイクシフォスラーでオベロン社廃坑に行きその鉱物を取りに行った。

そしてフィリアに頼み数日でその鉱物からベルセリアの花を育ててもらい、カイル達はナナリーの元へ向かった。そこでベルセリアの花を使い、看護人を交代させながら数日に渡る看病の末ルーはその病気に打ち勝った。

元気になったルーの姿に安心した一同、そしてホープタウンから出ようとした時ナナリーはロニに対し何か思い出しかけているような兆候を見せていた。その様子にロニでいい、と呼び捨てで呼ぶようにナナリーに言った後カイル達はホープタウンから離れた。ナナリーに関しては無理に記憶を呼び覚ます必要はないと感じているので、ゆっくり思い出してくれる方がいいと判断したが故の事だ。









・・・そしてイクシフォスラーがあったこともあり、主な人物達に会い終えた後は案外早く世界を旅し終えたカイル達。アクアヴェイルでジョニー達に会ってからデュナミス孤児院に戻った後、ジューダスはこれからどう生きていくかを考えた。
しかしその答えはすぐにカイルがくれた。



「ジューダスが嫌じゃなかったらでいいけどさ、俺達と孤児院で一緒に働かない?」



・・・夜の孤児院でベッドを並べ、隣同士で寝ている状態で顔を向けられ明るくそう聞かれた。
純粋に善意で聞いてくるカイルにジューダスはただ一言、こう答えた。「ああ」、と。



・・・それから三年間、ジューダスはデュナミス孤児院の一員として働いていた。スタンにルーティにカイルにリアラ、それに時折余りだと言ってパンを持って来るロニと顔を合わせながら・・・









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