救う者と救われるもの epilogue

「ジューダス・・・どうしてるかな・・・」
あれから三年経ち、色々経験してきた。大爆発に関してはまだ問題は解決していないが、それでも自分は今元気に確かに生きている・・・
会うことはもうないとは分かっているが、相手を想像することは誰にも咎められない。ルークは目を閉じ、ゆっくりジューダスの歩んでいるだろう道を想像していく・・・









~???~


「クシュンッ!」
「ん?」
くしゃみ、はっきり分かるその音に見覚えのあるくせっ毛の黄色頭がそちらに振り向く。
「珍しいな、ジューダスがくしゃみをするなんて」
「・・・誰かが噂をしているのかもしれんな」
その黄色頭の正体、それは三年経って立派な青年という姿に成長したカイル・・・そしてくしゃみをした張本人は、ルークの想像の相手であり三年経ってより一層大人びた空気を身につけたジューダスだった。
「ウッドロウさんやフィリアさんだったりして。あっ、マリーさんかな?それともコングマンさん?」
「・・・お前は何を考えている。あくまでも噂かもだ、それにくしゃみくらい僕だってたまにはやる」
「想像だからいいだろ?別に」
楽しそうに『リオン』だったころのかつての仲間の名を挙げられジューダスは呆れたように言うが、カイルは楽しそうに返す。
「でも・・・もしかしたら、ルークだったりして」
「・・・フン」
だがカイルが空気を変え懐かしむような目で見てきたことで、ジューダスはただ鼻を鳴らすだけに済ませる。
「・・・早いよな、あれから三年か」
「・・・あぁ」
そして本格的に昔の事を話し出したカイルに、ジューダスも同意で返す。












・・・三年前、ルークを見送ったジューダス達。そこから時間が遅いという事で場はお開きとなり、各自眠りについた。

そして一晩が経ち、ジューダスは改めてカイル達を交えてスタン達との話し合いをした。次の会話はその時の会話である。



「僕はもう『リオン・マグナス』ではない。エルレインにより生き返った後僕はその名を名乗る事もなくなり、ジューダスとして生きてきた。そして三度目の生を受けた訳だが、今更僕は『リオン・マグナス』と名乗る気はないし名乗ればそれだけの代償を産む・・・スタン、ルーティ・・・僕の事はこれからはジューダスと呼んでくれ、頼む・・・」
「・・・ああ、わかったよ」
「・・・そこまで言われちゃ仕方ないわね」



・・・という物である。これはジューダスが『ジューダス』として生きる為に、『リオン・マグナス』として扱わないで欲しいとスタン達に願い出た物だ。

ジューダスはもう自分は『リオン・マグナス』ではないと思っているが、スタン達は自分の事をかつてのようにリオンと呼んでくる。親しみを持って接してくれるのはまだいいと考えていたが、名前に関しては流石に自分にもスタン達にも迷惑をかけることになるとジューダスは考えた。何故なら『リオン・マグナス』という名は神の眼の騒乱にて四英雄達と相対した、大罪人の名なのだから・・・だからこそジューダスは呼び名に関して譲る気は一切なかった。

その強い意志に相対したスタンとルーティは観念したように呼び名の件を了承した。現に今はジューダスとスタンは時々間違えそうになるが、そう呼んでいる。









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