救う者と救われるもの epilogue

『三人共、済まないが巻き込まれないようにジューダス達の方へと固まってくれ』
「うん・・・」
次にローレライはカイル達に呼びかけ、三人を移動させる。そして三人が移動し終わると、スタンが声をかけてくる。
「これで・・・ルークとお別れか。短い間だったけどルーク、そっちに戻っても元気でいるんだぞ」
「スタンさん・・・ありがとうございます」
別れの挨拶、ルークはスタンに深々と頭を下げる。
「ルーク、しっかりしなさいよ。これからあんたはコイツ抜きでやんなきゃいけないんだからね」
「ルーティさん・・・」
「大丈夫だよ、母さん。ルークならさ」
「カイル・・・」
「まぁこんな気難しい奴と一緒にやってこれたんだ。俺も大丈夫だと思いますよ、ルーティさん」
「ロニ・・・」
「もう会えることはないと思う・・・けど、貴方なら大丈夫と信じてるわ。ルーク」
「リアラ・・・」
すると次々とスタンに続きルークを励ますように声をかけてきた。
「ルーク・・・」
そして最後に言葉を発していなかったジューダスが一人前に歩み出て、名を静かに呼ぶ。
「もう、僕とお前が会う事はないだろう。だから最後に、言わせてくれ」



「ありがとう、お前に会えてよかった」



今までのジューダスにない礼の言葉を言いながら満ち足りた笑みを浮かべ、ジューダスは右手を差し出してくる。
握手、その動作が指し示す物がそれだとルークは気付き同じく右手を出してしっかりと握手する。
「ああ・・・俺もジューダスに会えてよかった。巻き込んでしまったことは悪かったと、今でも思うけどな」
「フン、今更だ。それに僕もお前をここに連れてきてしまったんだ。お互い様だと思っておけ」
「・・・うん・・・」
感謝からいつもの皮肉げな笑みになって返され、震えた笑顔で頷きながらもルークはその手を離す。
・・・わかっているのだ、ルークもジューダスも。これ以上時間をかければ間違いなくルークが泣いてしまう事を自身も、相手も。だからこれ以上会話で時間をかける訳にはいかない、笑顔で別れる為にも・・・
「じゃあ、ジューダス・・・離れてくれ。もう、行くから」
「ああ」
二人のやり取りを四人が見守る中で、ルークの声でジューダスは四人の方へ下がる。
『・・・別れの挨拶は済んだか、では行こう』
そしてその場を見守っていたローレライが、ゆっくり声を上げてルークを第七音素の光に包んでいく。



(ありがとう、ジューダス・・・)
光に包まれていく刹那、最後に見えたジューダスの顔にルークは最後の礼を心の中で唱える。うっすら目元から溢れ出た、涙とともに・・・









~現在、バチカル城~



「・・・あの後、タタル渓谷に戻った時フローリアン達にすごく迫られたんだよなぁ・・・」
日記を書き終わったルークは椅子からベッドへ場所を変えて寝転がりながら、一人思い出に浸り表情をまどろませる。



ジューダス達との別れの後でタタル渓谷に戻ったルーク。そこにはルークとジューダスの帰還を今か今かと待ち構えていた一同の姿がそこにあった。

光と共に帰ってきたルークだが、その側にはジューダスはいない。しかもルークの目には涙・・・その帰還に戸惑いが大幅だった一同はフローリアンを筆頭に、ルークにその訳を説明することを求めてきた。

ジューダス達との別れから一気に必死な様子を見せられたルークは涙を拭いながら、一連の流れを説明した。

・・・そして説明を終えた時、受け入れる速度に差はあっても一同はジューダスが元の世界に戻ったことを受け入れた。

尚これは余談だが、ジューダスが離れてしまった事を内心で1番寂しがっていたのはシンクだとタタル渓谷にいたメンツは認識している。本人にそう言うとすごくムキになって襲い掛かって来るので、あくまでもそれはシンクの前でだけ言わないだけということも記しておく。

・・・余談を挟んだがジューダスの事を説明し終わった後、ルークは今度こそローレライを譜石帯へと送り出し全てを終わらせた・・・星の記憶を覆し、尚且つ死ぬ運命だった人々を救うための旅は・・・










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