救う者と救われるもの epilogue

『ピオニー陛下もそんな変わってないってガイ言ってたし・・・俺がいなくなってからの三年間は色々大変だったって聞いたけど、今俺もこうやってティア達に敵だったヴァン師匠達も交えてアッシュと一緒に成人の儀を迎える事が出来た・・・そう思うと、すごい事なんだよな・・・』
日記を書きながら、ルークは微笑を浮かべる・・・









ユリアシティにてダアトでの演説の準備が整うまでの間、ルークはティア達から自分がいない間の三年間の話を事細かに聞いていた。その話の間自分やアッシュ達がいないことを寂しく感じていたルークだったが、それでも世界が無事にまとまっていったことを自分の事抜きに素直に嬉しく感じていた。

だが今はこうやって生きている、更には生きていて欲しかったと思う人達も同じように生きている・・・嬉しいという気持ちをルークは部屋に誰もいないこともあり、押し隠す事は出来なかった。








『・・・お前のおかげだって言っても僕は手伝っただけだとか返されそうだけど、それでも感謝してもしきれないよ・・・ジューダス』
そして日記にその名前を書くと、ルークは顔を上げてそっと呟く。
「ありがとう、ジューダス。お前のおかげで俺も、皆も救われてきた・・・絶対に忘れない、俺はお前の事を・・・」
・・・遠くを見るよう細められた瞳、壁しかないその先に当然礼を言うべきはずのジューダスはいない。だがそれも当然であった。何故ならジューダスは、



向こうの世界に残ったのだから・・・












~三年前、デュナミス孤児院~



「僕は・・・ここに残る」
「そっか」
ジューダスから重く、はっきりと告げられた出て来た言葉は残留。だがその言葉を聞いて、ルークは一言笑んで言っただけだった。
「・・・ルーク、それでいいの?」
だがその様子からカイルがルークの顔を覗き込みながら声をかけてくる。
「ああ、スタンさんも言ってたけどジューダスの事はジューダス自身で決めるべきだと思うからそれでいい。だから俺は何も言わない」
だがジューダスに対する覚悟を決めたルークは迷いなく、まっすぐにカイルに返す。その様子にカイルも何も言わず、一つ頷きを入れて姿勢を元に戻す。
「・・・スタンさんとルーティさんと話してこっちに残る事を決めたのか?」
だがその結論に至った経緯をどうしても聞きたかったのか、ロニがジューダスに緊迫した面持ちで問う。
「・・・そうだ」
返されたのは重い肯定、そして更にジューダスは話を続ける。
「僕はどうするべきかを迷って二人と話をしていた・・・過去の話をな。ルークがオールドラントに戻る事を考えるとあまり時間をかけれないから話の内容は言わんが、僕はその中でこっちに残る事を決めた・・・話は聞きたいなら後で話してやるから、それでいいか?」
「ああ・・・」
話を省略されはしたが、それでも重大な決意をしたことがその表情からわかるだけにロニも何も言えずに肯定を返した。
『話は・・・済んだようだな』
そこで会話が途切れた所に、ローレライが指輪から姿を現しルーク達の頭上に止まる。
『ジューダスも言ったように、あまり時間もかけられん。そろそろ行こうと・・・思う』
「・・・うん・・・」
そしてローレライが告げたのは心苦しいと口調で語っている、別れの切り出し。ルークもそう思っているだけに、辛そうな顔になりつつもはっきりと首を縦に振る。











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