救う者と救われるもの epilogue
『アリエッタとシンクもヴァン師匠とリグレットが残るって事でバチカルに来てくれたんだけど、二人とも元気そうでよかったな。シンクは特にもう世界に対して思う所はそんなに無くなったって言ってたし』
次に思い浮かんだのはルークとフローリアンを見て笑顔を浮かべ近づいて来たアリエッタと、アリエッタの後ろから来たシンクの姿。
三年前タタル渓谷からダアトに戻ったアリエッタは、被験者イオンを人知れず葬った墓の場所をヴァンから聞き墓参りを行った。全てを知った後とは言えやはり墓前に来た時の悲しみは別格だったらしく、アリエッタはしばらく墓の前で泣き崩れた。だが墓前から帰ってきて以降、アリエッタはもう泣くことはなくなり強い意志を燈した表情を持って六神将の仕事を全うしてきた。
反対にシンクはタタル渓谷から戻って来てからしばらくはシンクらしくない様子で精彩を欠いた行動を取っていた。ルーク達と旅をしてきた中ではシンクはアリエッタ達への想いで行動してきたが、それでも自らの生まれ至った経緯をそう軽くは見れなかったようで、ダアトに戻った後はしばらくそのことを思い悩んでいた。だが緩やかではあるが確実に変わりゆく世界の中で三年間過ごす、いや生きてきた中でシンクは徐々に変化していき元々のシンクのように動けるようになっていった。
アリエッタからその近況を聞いたルークがシンクに真相を聞いた所、帰ってきた答えはこうだった。『預言の事を頼らない状況で世界が嫌だなんて一々それを蒸し返すように考えてたからイライラしてた。ならどうすればいいかって思ったら、別にもうそんな深く考えなければいいんじゃないかって思うようにしたら気が軽くなったんだ』・・・とのことだった。開き直りに近いようなその答えだったが、ルークはそう聞いて安堵を確かに覚えていた。シンクがこれで世界を嫌わずに、絶望せずに済むんだと思い・・・
『ラルゴも久し振りにナタリアとアッシュに会って、どこかぎこちない会話をしていた。叔父上とも皆と会う前に話し合ってたって聞こえたけど、仲良くやってるようだからよかったと思う』
そして次に思い浮かべた姿はアッシュとナタリアの二人にラルゴが話し合う姿。
ラルゴも神託の盾の六神将としてダアトに戻ってその職務を全うしてきた。そしてこの三年間の中でラルゴは六神将として活動する中で時折バチカルに来ていた。それはインゴベルト陛下やナタリアと話をするためである。
キムラスカに対して預言の事があってから、因縁と最愛の二つの想いを同時に併せ持っていたラルゴ。その気持ちを考えイオンやヴァンはダアトからキムラスカに誰か使者を送る時は率先してラルゴを送り、インゴベルト陛下もラルゴもその心遣いに少しむず痒い物を感じながらも会話を重ねていった。
それから関係も多少なりとも改善された二人だったが、インゴベルト陛下とは別にラルゴは成人の儀があるにあたって少しギクシャクとする問題があった。それはアッシュとナタリア、二人の婚約の事だった。
世間一般では『ルーク』がナタリアの婚約相手である。だがルークはアッシュがナタリアの婚約相手だろうと考えていて、インゴベルト陛下もナタリアもそう考えている。故にラルゴからすれば愛娘と結婚する相手はアッシュになる。そしていずれはアッシュはナタリアと夫婦になる、つまりアッシュにとってラルゴは義理の父親となる・・・そう考えれば妙な空気が流れるのも当然であった。
元同僚である程度互いの性格がわかっている分、いきなり義理の親子になるのは難しい思いがある。だがナタリアはどちらも大切に想ってくれる・・・その分が二人の気持ちをより一層複雑なものとしていた。実際ぎこちないのはナタリアを除いた二人なのである。
この二人が自然に親子の関係を築ける日が来るかどうか、それはまだ時間が経たなければわからないことだった。
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次に思い浮かんだのはルークとフローリアンを見て笑顔を浮かべ近づいて来たアリエッタと、アリエッタの後ろから来たシンクの姿。
三年前タタル渓谷からダアトに戻ったアリエッタは、被験者イオンを人知れず葬った墓の場所をヴァンから聞き墓参りを行った。全てを知った後とは言えやはり墓前に来た時の悲しみは別格だったらしく、アリエッタはしばらく墓の前で泣き崩れた。だが墓前から帰ってきて以降、アリエッタはもう泣くことはなくなり強い意志を燈した表情を持って六神将の仕事を全うしてきた。
反対にシンクはタタル渓谷から戻って来てからしばらくはシンクらしくない様子で精彩を欠いた行動を取っていた。ルーク達と旅をしてきた中ではシンクはアリエッタ達への想いで行動してきたが、それでも自らの生まれ至った経緯をそう軽くは見れなかったようで、ダアトに戻った後はしばらくそのことを思い悩んでいた。だが緩やかではあるが確実に変わりゆく世界の中で三年間過ごす、いや生きてきた中でシンクは徐々に変化していき元々のシンクのように動けるようになっていった。
アリエッタからその近況を聞いたルークがシンクに真相を聞いた所、帰ってきた答えはこうだった。『預言の事を頼らない状況で世界が嫌だなんて一々それを蒸し返すように考えてたからイライラしてた。ならどうすればいいかって思ったら、別にもうそんな深く考えなければいいんじゃないかって思うようにしたら気が軽くなったんだ』・・・とのことだった。開き直りに近いようなその答えだったが、ルークはそう聞いて安堵を確かに覚えていた。シンクがこれで世界を嫌わずに、絶望せずに済むんだと思い・・・
『ラルゴも久し振りにナタリアとアッシュに会って、どこかぎこちない会話をしていた。叔父上とも皆と会う前に話し合ってたって聞こえたけど、仲良くやってるようだからよかったと思う』
そして次に思い浮かべた姿はアッシュとナタリアの二人にラルゴが話し合う姿。
ラルゴも神託の盾の六神将としてダアトに戻ってその職務を全うしてきた。そしてこの三年間の中でラルゴは六神将として活動する中で時折バチカルに来ていた。それはインゴベルト陛下やナタリアと話をするためである。
キムラスカに対して預言の事があってから、因縁と最愛の二つの想いを同時に併せ持っていたラルゴ。その気持ちを考えイオンやヴァンはダアトからキムラスカに誰か使者を送る時は率先してラルゴを送り、インゴベルト陛下もラルゴもその心遣いに少しむず痒い物を感じながらも会話を重ねていった。
それから関係も多少なりとも改善された二人だったが、インゴベルト陛下とは別にラルゴは成人の儀があるにあたって少しギクシャクとする問題があった。それはアッシュとナタリア、二人の婚約の事だった。
世間一般では『ルーク』がナタリアの婚約相手である。だがルークはアッシュがナタリアの婚約相手だろうと考えていて、インゴベルト陛下もナタリアもそう考えている。故にラルゴからすれば愛娘と結婚する相手はアッシュになる。そしていずれはアッシュはナタリアと夫婦になる、つまりアッシュにとってラルゴは義理の父親となる・・・そう考えれば妙な空気が流れるのも当然であった。
元同僚である程度互いの性格がわかっている分、いきなり義理の親子になるのは難しい思いがある。だがナタリアはどちらも大切に想ってくれる・・・その分が二人の気持ちをより一層複雑なものとしていた。実際ぎこちないのはナタリアを除いた二人なのである。
この二人が自然に親子の関係を築ける日が来るかどうか、それはまだ時間が経たなければわからないことだった。
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