救う者と救われるもの epilogue

今までの歴史を収めた上で、預言をもう詠まないよう戒めるようにする。戒めのために今までの歴史をまとめて公開し、ダアトをその為の場とする・・・そうイオンは宣言した。









『モースにヴァン師匠やリグレットなんかは神託の盾をまとめるのに誰かダアトにいなければいけないということで来れないとティアが言っていた。最近は治安が良くなったって言っても、用心は怠れないらしい。そのために離れられないって言ってたけど、ちょっと残念だな・・・』
そして次に思い出したのは少し残念そうに兄と教官と上司の事を話すティアの姿。









しかしそのような宣言をしても預言を求める人の姿はちらほらとあった、時には抗議団体がダアトにまで押しかけて来る程に。

そのような時に場を納める為に動いたのが、ヴァン率いる神託の盾だった。

時には人々をなだめ、時には暴れ出す人々を取り押さえる・・・様々な人々が預言復活を願う中、ヴァン達神託の盾は必死にその流れを押し止めた。そして神託の盾がその人々を抑える中、説得する役目を引き受けていたのはイオンとモースにトリトハイム以下の詠師陣である。

その人達の為に懇切丁寧に、地道に説得・・・ダアトは例えそれが時間がかかろうとも、以降その人達が同じような考えを持たないようにするためにそうするしかなかった。

・・・それ故、ダアトは人々の納得を得る為に相当の時間を食ってしまった。だがイオン以下のダアトの人間達が一丸となって頑張っていったことは徐々に実を結び、今では預言復活を願う人々はほとんどダアトに来ることはなくなっていた。今では観光地として、歴史を学ぶ為の地としてダアトは認知されている。とは言えいつまたそのような人々が来るかわからないので、ヴァン達は成人の儀に来ることはなくダアトに残った訳である。

・・・だがそのような認識になったのもイオンの働きだけでなく、ヴァン達一同やモース達の働きも大きかった。片や預言を真っ向から否定し世界を滅ぼそうとし、片や預言を信じすぎるあまり暴走の果てを辿った・・・その両者がかつての自らの望む結末ではない世界の為に尽力している、ルークはそれを非常に嬉しい事だと感じていた。









『でもその話を聞いてサフィールがよろしく言ってくれとティアに言ってた。やっぱなんだかんだで心配なんだな』
心に浮かんだティアに話しかけているのは頭を軽く下げたディストの姿。









ディスト改め、サフィールはその名を本名に戻した。何故かと言えば神託の盾を辞めたためである。だが何故神託の盾を辞めたかと言えば、グランコクマにて大爆発の研究をジェイドとするため神託の盾所属のままでは出来ないということからである。

それから三年間ジェイドとともにサフィールは大爆発の研究をしていた。









『フローリアンも元気そうにしてたけど、俺が言うのもなんだけど大分しっかりしてきたよな~。サフィールは親代わりとしちゃ心配だってジェイドは言ってたけど、なんだかんだでガイもジェイドも陛下もフローリアン気にかけてたんじゃねぇのかなって思うし』
ティアとサフィールの会話を尻目に、自分に話しかけてきた元気そうなフローリアンの姿とその横にいるガイとジェイドの姿をルークは思い浮かべる。









三年前タタル渓谷からケセドニアに戻ってきた後、フローリアンはどうするのかという話題が上がった。

レプリカという存在が今の状態では受け入れられない可能性が高い。フローリアンのそのイオンそっくりな姿がある分ダアトじゃ昔はともかく今は暮らせないんじゃないのか?仮面を被る自分はまだいいが、フローリアンはいらぬ疑いが出る可能性がある・・・そんな意見がシンクから出された為に、どうすればいいのかと問題になった。

そこで手を上げたのが、サフィールである。ならば自分がフローリアンの親代わりになると。フローリアンは最初イオンやシンクやアリエッタと離れるのを酷く渋っていたが、三人が時々遊びに行くし遊びに来てほしいと言ったことでフローリアンはグランコクマに行く事を決めた。

それからフローリアンはサフィールの養子という形で暮らしていた訳だが、それをみすみす見逃すピオニー陛下ではないしそれを諌めないジェイドとガイではない。

ルークの想像するやり取りとしてはフローリアンを時間も場所も関係なく相当可愛がる陛下にその行動を諌めながらガイとジェイドが場に現れ、ジェイドの毒が入ったツッコミの言葉をサフィールがフローリアンに聞かせないで下さい!・・・というやり取りがいつもあっているのではないかと思っていた。その光景を見ていつもフローリアンが隣で笑っている姿もある状態で・・・










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