救う者と救われるもの epilogue

・・・二度目のオールドラントの命運を左右する英雄達の旅は終止符を打たれた、各国の重要地位にいる人間達によって第七音素集合体の存在が譜石帯に送られたと各国に伝えられた事で。



・・・そして、時は流れて行った・・・












『今日は久しぶりに皆と会った。流石に全員とまではいかなかったけど、あんなに集まったのは三年前のタタル渓谷以来だ。あれから皆それぞれの道を歩くために色々あったから中々会えない人もいたけど、元気そうな顔を見れてよかったと思う』
バチカルの城の中にある客室の中の一室。その部屋の中でルークは机の上に置いてある日記に向かい合い、ペンを走らせていた。









・・・ローレライを譜石帯に送ってから、三年が経った。

ローレライを送った後ルークがまずはと1番最初にやったこと、それはアッシュとファブレ公爵と公爵夫人の四人での相談であった。大爆発の問題があり、そう近い位置にはいれない。そのことを考えて二人はどのように動くかを話し合った。公爵夫人は戸惑いながらも二人の存在を受け入れ、その話し合いに真剣に参加して意見を交わしたりもした。

・・・そしてその話し合いの結果、アッシュがファブレに残りルークがケセドニアにて活動する事となった。これはルークの意見である、実際に世界が動くのを見て自分なりに動ける現場にいたいという強い気持ちがこもった物。最初アッシュはファブレに自らを残らせる為ではと少し苛立たしげに言ったが、その意志のこもった目と話を受けてアッシュは昔からは考えられない程アッサリと引き下がった。

そして公爵と夫人の説得に成功したルークは公爵とインゴベルト陛下の計らいにより、ケセドニアにて活動するようになったのだ。



・・・だが何故ケセドニアにいるはずのルークがバチカルにいるのか?・・・それは今日この日がアッシュとルークの二十歳の誕生日に当たり、一緒に成人の儀を執り行う為にバチカルに来たのである。

そしてその成人の儀に集まったのが、かつての仲間達や六神将といったメンツである。









『イオンはもうダアト式譜術も使う事が無くなったから、特に体調を崩す事は無くなったって言ってたけどあれからしばらくは忙しくて疲れた様子を見せてたってアニスが耳打ちして言ってくれた。もう預言の事に関しちゃ落ち着いたからいいんだろうけど、あんまり無理はしてほしくはなかったな』
ペンを走らせながらまずはイオンとアニスの事をルークは思い出す。









・・・この三年間、ダアトは傍目から見ていても分かるほど目まぐるしく動きがあった。

預言を詠まなくなるにあたりやはりというか、その指針をどうにかしてほしいという声が少なからず出ていた。その声に対ししばらくダアトが難儀をしているというのはルークの耳にも入っていた。まぁそのことに対しては起こり得る事態であったのは予想がついていたのでいい。だがダアトに残る問題はまだあった、それはダアトの存在がどのような物なのかをはっきり人々に言ってなかった事だった。

ローレライ教団が預言を詠まなくなったことでダアトはどのような行動を取る団体なのか、以前のヴァンが起こした争乱のように必要に迫られた状況ではないだけに出来る限り早くそれを人々に示す必要があった。特にダアトに住まう敬謙な元ローレライ教団の人々に対しても、どう活動すればいいかを示す必要が。事実、ダアトがどういう活動をするのかを疑問視する声は確かにルークの耳にも届いていた。



そこでどうするか、そのことを受けイオンが発表したダアトの方針。それはダアトを歴史観光の地にすることである。







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