救う者と救われるもの 第二十四話

・・・事実、こちらに来てルークも救われていた。



ジューダスの問題、もし何もなかったらこれは時が経てばルークの心に変化を起こして受け入れる事が出来ただろう。だがそれはあくまでも結構な時が経つというくらいの時間の経過が必要だ、少なくとも数時間程度の時間でルークは納得することはないだろう。

だがルークは今はジューダスの事を受け入れる気持ちが出来ていた、例えどういう結果になろうとも。そしてジューダスも全てを明かし、スタン達と向き合う事を決心した。

・・・この偶然はルークにとってもジューダスにとっても、一つの分岐点となった。辛いはずのものと目を逸らさないと決意を固めるか、その辛い物から逃げるかの。そして結果は様々な思惑があれど、二人は目を逸らさずに事に挑むと選択した。ジューダスは今もスタン達と向き合っている事だろう。

・・・その選択が正しかったかどうかは正否は誰にも言えない、だが辛い物と向かい合ったことで得られた物がある。それは前進の姿勢だ。

二人はオールドラントで全てをやり終え、目標を見失った。ジューダスは時空間に戻り損ね、ルークはジューダスとの暮らしが出来ないと感じた。もしローレライを送り出すのにすんなり行っていたら、二人は目標をどうするかで迷走していただろう。

・・・前に進む、ということは目標を見失っていない状態である。例え手探りでゆっくりしか進めない状態であっても。二人は前進することを選んだことで、自身の悩みに決着をつけることを選んだのだ。

・・・そしてカイルから心から嬉しい、と思える言葉をもらったことでルークは今までの緊迫感といったものから解放されたのだ。笑顔を自然に浮かべる事で報われてきたのだと、救われていたのだと感じながら・・・












・・・全てが終焉になりつつある。しかしその終焉は一人の人間がそれを告げねば辿り着けない。
「・・・待たせたな」
・・・そう、その人間とはジューダス。
ルークがゆっくりカイル達と話している中でジューダスの声が届き、カイル達は扉の方へと振り向く。そこにはいつも通りの様子になっていたジューダスと、その後ろにスタンとルーティがいた。
「ジューダス・・・結論は決まったんだな」
「ああ・・・そうだ」
ルークとジューダスは確認ではなく、答えを聞く意味で会話に踏み切る。
「じゃあ・・・答えを、聞かせてくれ」
「・・・っ」
しかし長い会話に意味はない、ルークは周りの息を呑む音を聞きながら単刀直入に告げる。



「                      」



「・・・そっか」
ジューダスの答えを聞き、ルークはただ一言漏らし笑んだ。













最後の一言はどちらかの縁を断った



だがそこに悲壮さはない



前に進む為、世界を作る為、自分の歩く先を自分で決めたのだから・・・









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