救う者と救われるもの 第二十四話

「・・・・・・」



・・・ひたすらにジューダスを待とうとルークは直立不動で立ち尽くす。それが数分も経った頃だろう。
「・・・ルーク、いいかな?」
「ん?・・・あれ、三人ともどうしたんだ?」
すると唐突に背後から声が声が聞こえ、ルークは振り返る。そこにいたのはカイル・リアラ・ロニの三人だった。
「・・・なんか三人の間で話がしたいって空気になったから、俺達邪魔にならないようにこっちに来たんだけど・・・ジューダスが来るまでの間くらいしか話出来ないけど、ちょっと話さない?」
「あ、うん・・・」
ジューダスが下に行ってから数分の間でどんな想いが交差されたのかを、カイルの言葉は伝えてくれた。ルークはそれがわかっただけにカイル達を拒めず、了承を返す。
「さっきは軽く流れを説明するくらいしか聞かなかったけどさ、ルークと旅をしてる間のジューダスってどんな感じだったの?」
「ん?えーっと・・・どんな感じ・・・」
そして早速来たカイルの質問にルークはちょっと考えるが、浮かんできた答えを素直に口にする。
「優しかった、な」
「え・・・優しい・・・?嘘だろ、あのジューダスが・・・」
優しい、心に浮かんだ答えはその一言。しかし旅の様子を思い返し、軽く笑みながら答えた声にロニが信じられないといった引いた反応になる。まぁ色々口喧嘩やらしてきた仲だ、どちらかと言えば頼りがいがある仲間という方がロニにはまだしっくり来るだろう。
そんなロニの為、ルークは説明を重ねる。
「何て言うかその・・・俺のジューダスに対する認識って言うか、そんなことを考えて見るとそういう風に思えるんだ。アリエッタやフローリアンの相手をしてる時なんかもあまり乗り気じゃないのは見てて分かるけど、なんだかんだで二人を拒んだりなんかしてなかったし。それに旅の間ずっと俺の事を助けてくれたし・・・多分ジューダスの事だから必要だからやっただけ、なんて言いそうだけどね」
「それでも優しいって感じた、と?」
「まぁ色々厳しかったりもしたけど・・・その分色々ジューダスの事を知ったから、ああじゃないと自分の言葉で言えないって事も分かるし・・・」
「・・・そうか・・・話にあったけど、ユリアシティでルーク達はジューダスの記憶を見たんだよな・・・」
「うん、だから思うんだ。ジューダスは素直にならないんじゃなく、なれないんだって。ただジューダスの記憶を見なかったら、そうは思えてなかったかもしれないけど」
「「・・・」」
必要以上にジューダスの過去の事を自分が話す訳にはいかないが、それでもその過去が余程重い物だと理解させ、自分がそう思えるだけのきっかけだという物。それをルークからの話で理解し、ロニとリアラは沈黙の様子を見せる。
「・・・色々あったんだな・・・」
ただ一人カイルはしみじみした様子になり、なんとも言いづらそうな声を上げる。
「確かに色々あった・・・でもだからこそ俺はジューダスに後悔しない選択をしてもらいたいんだ。今度はエルレインの考える幸福じゃない、本当の幸せを掴んでもらうために・・・」
「・・・ええ、私達もそう思うわ・・・」
そのカイルの声を拾い、ルークは切実な想いを確かに言葉に乗せ表情を悲しくさせる。その声にリアラも苦々しく頷きながら同意する。
「大丈夫だよ、ジューダスなら。ジューダスならちゃんと答えを決めてここに来てくれるさ!」
「俺もそう思うから安心していいと思うぞ。あいつなら結論が出たならそれをはっきり言うさ、あの憎まれ口でな」
「カイル、ロニ・・・ありがとう・・・」
そんな二人の様子にカイルとロニは励ますように、明るく笑顔で言葉をかけてくる。ルークはその気遣いに感激し、微笑が浮かぶ。








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