救う者と救われるもの 第二十四話

「・・・・・・」
ベランダに一人佇むジューダス、その表情は寂しく遠くを見つめていて言葉一つ発さない。
「ジューダス・・・」
「・・・ルーク・・・」
そんなジューダスにルークは後ろから声をかけ、表情を変える事もなく振り返る。
「隣・・・いいか?」
「・・・あぁ」
ルークはその表情にジューダスを心配する言葉をかけず、確認を取りながらもジューダスの隣に移動する。その意味のない確認に本来のジューダスなら一言入れてただろうが、特に何も言わずにまた振り向いてルークと同じ風景を見ながら肩を並べる。
何故ジューダスが何も言わなかったか・・・それはルークの表情もジューダスと同じように哀愁が漂っていた為だ。



「ジューダス・・・どうするのか、決まったか?」
そして開口1番、ルークはジューダスに決心の行方を重く聞く。
「・・・・・・・・・まだ、決まってはいない」
「そっか・・・」
「・・・用事は、それだけか?」
「・・・いや、言っておきたい事があってさ」
「・・・何をだ?」
大分間を空けられて返って来た返事は否定、そして二人ともに一言一言確かめるようにゆっくり会話を繰り広げていく。
「ありがとう、俺や皆の事を助けてくれて・・・」
「・・・なんだ、いきなり・・・」
しかしルークの前置きから心のこもった礼を言われた事でジューダスはルークの方に振り向く。するとそこには同じように振り向いたルークの瞳は、綺麗な程真っすぐな瞳で強い意志を持たせた物へと変わっていた。
「ジューダスはまだ悩んでいるんだろ・・・?その気持ちは俺には想像しか出来ないけどさ、どっちかを選んだらどっちかの世界にはもういれなくなる・・・そう考えてみたらさ、オールドラントから離れる事を選んだならもう俺達は会えない訳だろ?ローレライ」
『・・・そうだな、我はオールドラントに戻ればすぐに譜石帯に昇るだろう。同様にリアラのペンダントはもう存在しない。すなわち、オールドラントに次元を越える為の時空移動を起こせる存在がいないのだ。それに元々時空移動はたやすく起こしていいものではない・・・』
「・・・元々俺の生きたいって気持ちからこんな事態になったんだけどさ、時空移動ってもう起こしちゃいけないものなんだよな。だからさ、ジューダスがどっちを選ぶにしても次が最後の時空移動にするべきだと思うんだ・・・」
「・・・それが妥当な所だ」
別れか共に戻るか、更には最後の時空移動・・・ローレライも交えたルークの話に、ジューダスも賛同の声を上げる。



「だからさ、帰る前に言っておきたかったんだ。ジューダスのおかげで皆助けられた、そして俺も助けられたんだって伝えたいなってさ」



「!」
ルークの紛れも無い本心、それを真正面から受けただけにジューダスは驚きを隠せずすぐさま口を開く。
「ルーク、お前僕がここに残る事を前提に話をしていないか・・・!?」
今までのルークの話し方から総集したジューダスはその考えに行き着き、若干声を怒らせて問う。もしやこの世界に押し付けて戻る気では、ジューダスはそう考えているのだろう。
だがルークはゆっくり首を横に振って否定すると、ジューダスとは対称的に穏やかな声で話し出す。
「違うよ、どっちを選ぶにしてもスタンさん達とジューダスに話をしてほしいと思ってさ」
「僕が、スタン達とだと・・・!?」
落ち着いている声に焦ったように乱れる声。本来だったら役割が逆だろうその様子に、ルークは更に続ける。








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