救う者と救われるもの 第二十四話

「・・・・・・」
‘ガタッ’
するとジューダスはスッと立ち上がり、無言で階段の方に足を運んでいく。
「「「「・・・」」」」
誰もがその後ろ姿を見て引き止める事も出来ず、ジューダスが2階へ消えていくのを見送る。



「・・・しかしまぁ、ジューダスも随分と悩んでいるようだな・・・」
しばしの沈黙が場を包み、その空気を変えようと思ったのか空気に耐えられなくなったのか、ロニが階段を眺めつつ参ったように声を出す。
「・・・やっぱりその・・・ここに戻ってしまった、というより私達に会ってしまったのが・・・」
その声にリアラが返答するが、気まずそうに視線をロニに向ける事で背ける。
「・・・いいわよ、リアラちゃん。あたし達に気を使わなくても・・・あいつが、私達にあんまり視線を合わせようとしなかった事も気づいてたから・・・」
「・・・ルーティさん・・・」
だがそのスタン達に気を使わせまいとするリアラの意図にルーティは気付き、空元気に近い寂しい笑みで話に入る。
「カイル・・・あんた達の話を聞いて私は正直、嬉しかったわ。ひねくれた性格自体は変わってはいないけど、それでもリオンは生き返った時に神の誘いなんか跳ね退けてカイル達を助けてくれてた。私達の子供だって知って、正体がばれる危険も省みずに・・・けどそんな風にしてたのに、今こんな感じでリオンはあたし達に見つかっちゃって・・・あはっ、そりゃリオンも気まずそうにするし、悩むわよねー」
「・・・あの、ルーティさん」
「ん?何?」
そんな搾り出した笑顔からのルーティの声に、ルークはたまらず割って入る。
「その、スタンさんにも聞きたいんですけど・・・もしジューダスがこっちに残るって言ったら、嬉しいですか?」
「・・・嬉しくないと言ったら、嘘になるわね」
ルークの改まった真剣な質問に、ルーティは寂しそうになって答える。
「俺も嬉しいよ・・・けど俺はリオンが自分の考えている通りにしたら、それが1番いいと思う」
「え?」
そして続いたスタンの声だったがジューダスに委任する意見が出て来た事で、ルークの声と共に全員の視線がスタンに集まる。
「俺はリオンにまたこうやって会えた、それだけでも嬉しかった。それにカイル達やルークの話を聞いて、リオンがどんな風にやってきたのかも聞けてね。でもだから思うんだ、俺は。これからはリオン自身が自分の為に動いてもいいんじゃないかって」
「だから・・・スタンさんはジューダスの考えを尊重すると?」
「ああ、こればっかりは俺だけが決めていい問題じゃない。ならいっそリオン自身が決めたことならそっちの世界に行ってもいい・・・そう考えることにしたんだ」
「「「「・・・」」」」
スタンはジューダスが答えを出す前から全て受け入れている。そんな様子に皆は何とも言えず沈黙する。
‘ガタッ’
「・・・ん?どうしたの、ルーク?」
そんな中で椅子から立ち上がったルークに視線が集まり、カイルが行動の意味を聞いてくる。
「・・・ちょっとだけ、ジューダスと話をしてくる。すぐに戻って来るから・・・」
その表情にはどこか悲壮な決意、そんな空気がルークから漂っている。カイルに向かって首を振るとルークは2階の方に足を運び、スタン達はその顔からルークを引き止めることもなく、その後ろ姿を見送った・・・











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