救う者と救われるもの 第二十四話

『・・・見つかって、しまったか』
・・・予想外の対面。誰もが時が止まったように唖然と制止する中、ローレライが指輪から無念そうな声を上げる。
「な、なぁ・・・お前、ホントにジューダスなのか・・・?」
「・・・あぁ・・・お前も、記憶を持っているのか・・・」
その動揺からいち早く覚めたのはロニで、本当にジューダスかを確認してくるがジューダスはその声に顔を背けながら肯定する。自分をジューダスと呼ぶ事から、小声でロニも記憶があると確認をしながら。
「ジューダス・・・?どういうことよ、あんたリオンでしょ・・・!」
「・・・人違いだ、僕はリオンなどという名ではない。僕はジューダスだ、ロニの言ったようにな」
「嘘よ!あんたのその顔も声も話し方も、全部!リオンそのままじゃない!」
だがジューダスであると肯定したのに自らのリオンだろうという問いには否定で返した事に、ルーティは激しく声を荒げて泣きそうな顔でジューダスに詰め寄ろうとする。
「ちょっ、ちょっと!待ってください、ルーティさん!落ち着いて下さい!」
「ちょっとどいて!」
その様子を見てルークはすぐに慌ててジューダスの前に立つ。壁になったルークにルーティは激しい言葉を出し、ルークの肩に手をかけてどかそうとする。
「母さん、落ち着いてよ!」
「ちょっと離しなさいカイル!」
「・・・カイル・・・」
するとルークとルーティの間に割って入り、肩を掴み止めたのはカイル。その声にジューダスは背けていた顔をカイルに向けて名を呟く。
「母さんの言いたい事も分かるよ・・・けどジューダスは、ジューダスは・・・!」
「「「「・・・」」」」
その声はうまく言えずに止まったが切実な想いが篭っていた、それ以上詰め寄らないで欲しいと。その中身がわかるだけにリアラ・ロニ・ルークは顔を悲しそうに歪め、スタンとルーティも込められた想いの重さを察してなんとも言えない表情となる。
「・・・もういい。ルーク、カイル。僕をかばわなくとも」
「「ジューダス・・・?」」
するとそのジューダスから何か意を決したような声が出て来て、ルークとカイルの二人を振り向かせる。
「元々会わないと決め、そう行動していたのはあくまでも僕個人の意志だ。そこまでしてもらう訳にはいかん・・・それにもう、ここまで来たら沈黙は意味がない。シラを切っておいて、今更だがな」
「ならジューダス・・・お前、スタンさん達と話をする気に・・・」
「こうやって見つかってしまった以上はな・・・」
諦めたように自嘲の笑みを浮かべるジューダスだが、逆にどこかふっ切れたように見えてしまう。そしてジューダスはその笑みを消し、真面目に切り出す。
「・・・カイル、リアラ、ロニ。頼みがある」
「え?な、何?」
「僕達の旅の事をこいつらに話したいと思う。お前達もその時の事を一緒に説明してくれ」
「えぇ、それは構わないけど・・・彼は?」
頼みを受け入れたリアラの視線の先にいるのはルーク。場にいる人間の視線全部が興味を伴い、ルークに集まる。
「ルークの事はその話の後で話す、そうしなければお前達にも説明出来ん」
「・・・」
ジューダスの答えにルークは黙って頷く。確かに自分の事を説明するにはジューダスのフォルトゥナを倒した後の経過を聞いてからでしか言えない、そう考えたルークは無言の同意を示した。
「はぁ・・・わかったわ、また色々長い話になりそうだから下で話しましょ」
「そうだな、じゃあ下に行こう」
そんなやり取りを見ていたルーティは頭を抱えつつ下に行く事を提案し、スタンもその案に賛成すると場にいた他の面々も首を縦に振り部屋の方に退出していく。












・・・そしてデュナミス孤児院の下の階にあるテーブル。そのテーブルの台所に向かって右側にスタンとルーティ、その対面にカイルとリアラとロニ、台所から一番遠い反対側の所にルークとジューダスが椅子を用意して座る。
「・・・では、話を始めるか」
腰を据えて話し合う体勢に入った所で、ジューダスが重くその口火を切って話し出す・・・







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