救う者と救われるもの 第二十四話

そして時空間に飛び込んだローレライは、
(第七音素は点々と時空間に水滴のように存在している・・・ここか)
すぐさま鍵から零れ出た第七音素を見つけて二人の消えた地点に当たりをつけて、その地点に移動し時空を超えようとしていた。
(待っていろ・・・二人共・・・!)
ローレライは絶対に連れて帰るという決意を胸に、自らを光に包ませる。そして数瞬の後には時空間にローレライの姿は光と共になくなっていた・・・












「う・・・くっ・・・」
・・・そして、時空移動の光に取り込まれたルークとジューダスの二人。
うつぶせに倒れていたジューダスはうめき声を上げ、目をあける。
(ぼ、僕は・・・そうか、確か時空移動の光に巻き込まれて・・・ここは、どこだ・・・?何かの建物の中のようだが・・・)
ぼんやりする視界と思考の中、しっかり頭を働かせジューダスは建物の中だと感じた板張りの床に手をつけ立ち上がろうとする。だが右手にかかる拘束に気付き、その先に視線を送る。
「・・・ルーク?」
その先にいたのは自分と同じよう、月明かりの光に照らされてうつむき倒れていたルーク。それも自分の右手を離さないよう、左手で握っている。
「・・・フン、仕方ない・・・おい、ルーク。起きろ」
ルークを見た瞬間、色々言いたい事は出て来た。だがそれは今言う事ではない。ジューダスはそう考え膝立ちに体勢を整え、ルークの体を左手で揺さ振る。
「・・・ん・・・あ、ジューダス・・・?」
「起きたか」
その揺れにルークは目を瞬かせ、ジューダスの方を見てその名を呼ぶ。そして体を起こし左手を離すと、ルークはゆっくり辺りを見回す。
「ここ・・・どこなんだ?俺達、確かにタタル渓谷にいたはず、だよな・・・?」
「・・・僕も今起きたばかりだ。だがこれだけは確かだ、僕達は時空移動をした・・・そしてその結果、今ここにいる」
「・・・うん、けどなんか俺ここ見た事があるような気が・・・」
「・・・何?」
見覚えがある、ルークのその一言にジューダスは初めて立ち上がり辺りをゆっくり注意深く見渡す。
「・・・!?あれは・・・何故・・・何故これがここに・・・!?」
すると部屋らしき場所の一角にある机の方に、ジューダスは滅多に見せない動揺の表情を見せながらゆっくり近付いていく。その動揺を見てルークも何事かと立ち上がりその方向に視線を向ける。
「!?嘘っ・・・!?」
だがルークもそこにあるものを見つけた事で、驚きを隠せなかった。何故ならそこにあったのは・・・



「何故僕の仮面がここにある・・・!?」
・・・そう、そこに置かれていたのはジューダスが過去を隠すためにカイル達との旅の最中に被っていた竜骨の仮面だった。



ジューダスはその仮面を手に取ると、確かめるように仮面を回しながら注目していく。
「やはり・・・間違いなく、これは僕の仮面だ・・・」
一通り仮面を眺め終わると、ジューダスは仮面を両手に持ちながら呆然としかける。
「・・・あっ・・・でも待てよ、それだと・・・」
「・・・なんだ、ルーク?」
だがルークの独り言にも似た声に、ジューダスは振り返り気を取り戻す。
「いや、ここ見た事がある気がするって言ったけど・・・俺の予想が正しかったら・・・」
「・・・予想で構わん、言ってみろ」
しかしルークは言う事に躊躇しているというか、何かジューダスの様子を探るように気まずそうな態度を取る。その様子にジューダスは答えを促す。
「・・・じゃあ、ジューダス。心して聞いてくれ多分ここは」









「オールドラントじゃない、ここはデュナミス孤児院だ」








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