救う者と救われるもの 第二十四話

「着いた・・・か。どうしよう、考えが決まってないけど・・・仕方ない、行こう・・・」
タルタロスがその進行を止めた事で、ルークは気落ちしながらもタルタロスを出る為に足を進める。



・・・そして左舷の入口の外。ルークは徐々に出て来る皆の姿を捉らえながら全員が外に出るのを待つ。

尚、タルタロスに乗っていたのはティア達とイオンに六神将にヴァンといったメンツだけである。ファブレ公爵にセシル・フリングス両少将とタルタロスを動かしていたマルクト兵士はケセドニアに残っている。流石にローレライを送るのにあまりにも不必要な人員は割けないという事で、マルクト軍人と彼らをまとめる役目のフリングス少将は残る事となり、同様にキムラスカ軍人をまとめる役目のセシル少将もケセドニアに残る事となった。ファブレ公爵は一応魔物も出る危険な地ということで、立場を考えて残る事にした。それを考えたらイオンもということになるが、イオン自身の強い要望によってイオンはついて来ている。



「・・・あ、ジューダス・・・」
そんな中ルークは前をシンク、後ろをアッシュとラルゴにリグレットに挟まれた状態のジューダスが出て来るのを見つける。
「・・・全員出て来ましたね」
自然と階段を下りて来るジューダスの顔に視線を集中していたルークの耳に、ジェイドの確認の声が届く。その声にふっとジェイドの方を振り向くと、ジェイドは眼鏡を押さえている。
「それではこれより、ローレライの解放に参りたいと思います。それで夜の渓谷を歩くのはあまり望ましい事ではありませんが、渓谷の奥の方。セレニアの花がある場所まで行きます。私達に気付くものがいるとは思いませんが、念のためです。それにあそこなら適度に拓けていますから、周りの様子を確認しながらやるには丁度いいですしね」
ジェイドは全員に奥に行く事を告げながら、慎重案を出す。だが眼鏡を押さえるその瞳の奥は警戒を絶やさないと言っているかのように、ジューダスの方を見ているように見えてしまう。いや、少なくともルークにはそう映っていた。
「さ、行きましょう。あまり時間をかけていると夜が明けてしまいますよ」
説明を終えるとジェイドは出発を告げ、ルークとジューダスを除くメンバー全員がコクりと頷く。ルークはその声に素直に頷けなかったが、ジューダスまでもが皆と同じく歩き出す姿を見てルークは一同の最後尾に付く形で歩き出す・・・
(ジューダス、なんかうまく言えないけど・・・すっきりしてるように見えなかった・・・)
しかしパッと見えたその表情にルークはどうとも言えない感じを覚える。見えた表情は暗いとは言えないが、いつも通りともハッキリ言えない。強いてあげるなら物憂げな物が感じられるといったようなものだ。
(悩んでる、と思う・・・ジューダスも・・・)
その様子にルークは自身なりに感じた物から、推測を立てる。
(どうしたらいいんだろう、俺は・・・)
そんな様子にこのまま流されていいのか、ジューダスに対して何をしてやれるのか・・・ルークは歩き続ける中で、その答えを必死に探そうと悩みつづける・・・












・・・だがそのあがきもほんの少しの時間だけしかなかった。何度か来ている渓谷の道はもう知り尽くしているし、現地の魔物達はアリエッタのおかげで無意味に襲って来るようなこともなかった。つまりさして足を止められる事もなく、一同はセレニアの花畑のある場所まで来てしまったのだ。ルークがその答えにたどり着く前に・・・









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