救う者と救われるもの 第二十四話

「・・・やっぱり悩んでるようだな、ルークは・・・」
「・・・あたし達は大佐の話を聞いて納得したのに、なんでなのかな?ガイ・・・」
そのルークの様子をブリッジの上から見ていたガイとアニスは苦々しげに顔を歪めている。
「それは多分、ルークが一番ジューダスに近かったからだと思うな・・・」
「近かったから?」
「あぁ。ルークは俺達の中じゃ誰よりも一緒にジューダスといた、それこそ旦那からジューダスを留める為の企てをルークに話を通せないくらいにな。そんなに近い状態だったからこそ、ルークはほっとけないんだろ。あんなジューダスの過去を知った後じゃ、尚更な・・・」
「・・・わかんなくないよ、その気持ち。でもそう考えたら、ジューダスが素直に受けるなんてルークも思わないと思うんだけど・・・」
「ジューダスに心の底から生きてほしいって思ってるから葛藤してるんだと思う・・・ルークもそうだってわかってるからどうにかしたいって考えてるんだよ、きっと・・・」
「ルーク・・・」
二人ともルークの様子を見つつ、瞳に悲しみが宿る。どうにかしてやりたいのは自分も一緒、だがルークの悩みを作ったのは自分達という引け目がある・・・
ガイとアニスは苦悩の様子を見せるルークに近付けず、ただ見守る以外に出来なかった・・・












・・・そして一方、タルタロス内の船室。その船室の一つにジューダスはシンク・アッシュの二人と共にいた。



「「「・・・」」」
無言、ただ一言で三人の状態を表すならそうだった。椅子に座るジューダスはただ腕を組んで目を閉じてジッとするばかりで、二人はそんなジューダスから視線を外さず机を挟んで対面上に椅子に座っている。
「・・・おい、ジューダス」
「・・・なんだ?」
だがそんな静寂からアッシュがどこか痺れを切らしたよう、ジューダスに声をかける。その声に目を開けたジューダスの瞳に暗さはないが、力もない。
「随分と大人しくしているが、一体何を考えている・・・?逃げ出す算段でもしている、といった様子でもないようだが・・・」
「逃げ出す・・・?ふん、大袈裟に入口を固めておいて何を言う。そんなことここに入る前から考えてはいない」
何も動きを見せないジューダスにアッシュは真意を聞こうとするが、逃げ出すといった言葉に皮肉げな笑みを浮かべてそれはないと言う。
・・・ジューダスが言った入口を固めているというのは、ラルゴ・リグレットが部屋の前に陣取っていることだ。シンクとアッシュがジューダスと一緒にいるのはジューダスを見張る為で、ラルゴ達が外にいるのはもしもの事態に備えて見張りの為にいるのである。
「ただ・・・心の整理をしていただけだ、お前が気にする事でもない」
「心の整理・・・?」
「そうだ。見張りを解けとは言わんが、僕は自身で結論を出したい。タタル渓谷につくまでは用がない限り、話しかけないでくれ」
「・・・わかった」
だが続いた言葉にアッシュはけして安易に語りかけていいものでないと、静かに頷いて再び目を閉じるその姿を見届ける。







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